アルネ・ダール (Arne Dahl) 著
矢島 真理 訳
小学館 出版
「ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女」以降、北欧ミステリの人気は衰え知らずに見えます。本作品は、そんな北欧ミステリの人気作家による新シリーズです。ただ、北欧ミステリがひとつのジャンルとして日本に定着したとはいえ、まだまだわたしは、スウェーデンの人名に馴染めておらず、おもな登場人物でさえ、覚えるのにひと苦労です。
そんな苦労を感じつつも、先の読めない展開に一気に読まされてしまいました。そして、終わりに待ち受けていたのは、意外な結末でした。昨今の地球温暖化・気候変動に対する危機感を煽るテロ行為に見えた連続殺人は、実はまったく異なる動機で引き起こされていました。作者が意外性を狙って仕組んだ展開だとは思いますが、一歩間違えば、とってつけたように見える流れです。しかし、犯人が怨恨相手を犯人に仕立てようとしていたことや犯人の執着が尋常でないことなどから、あまり不自然には見えず、純粋に驚かされました。
楽しめたものの、あまりすっきりしない読後感が少し残念です。事件の詳細が、犯人からも捜査陣からも語られなかったのです。犯人は、なぜ 10 年も経ったあとに事件を起こしたのか、いつから緻密な計画を立てていたのか、なにを思って長年怨恨相手を監視しつづけてきたのかなど、数多くの疑問が残りました。
また、事件だけでなく、捜査を指揮するエヴァ・ニーマンのチーム、国家作戦局のグループ Nova のメンバーの過去についても、さまざまな匂わせがあったものの、最後まで明かされない謎も残りました。巻末の解説によると、『作者はエヴァ・ニーマンを登場人物とする本を、少なくともあと 3 冊計画』しているそうで、そのためではないかと思いました。続きは来週とか、結末は映画でとか、そういった連続ドラマのような終わり方に感じられます。シリーズ作品であっても、次の作品が翻訳されるかどうかは売上次第という業界だけに、続きを読めるのか気になります。
読み終えたあとも、謎の答えをもっと知りたくて、さらにページをめくりたくなるページターナー作品でした。

