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ロジャー・パルバース 著
柴田 元幸 訳
集英社 出版
ありとあらゆる本で引用されたり、前提知識になっていたりするので、聖書のことは知っておいたほうがいいと思いながらも、なかなか読もうという気が起こりません。アメリカなどのホテルだと、部屋に聖書が置いてあることが多いので、ちらっと見てみたりするのですが、残念ながら興味が湧きません。
それで、この本を読んでみました。
とても、読みやすいです。知っている話もありましたし、知らない話もありました。私が知っていたのは、以下の話です。
−ノアの箱舟
−バベルの塔
−ヨブ
−アダムとイブ
この中で、「ヨブ」が私の中では一番印象に残りました。理不尽な神とのやり取りはなく、そこにあるのは、自分自身と向き合うヨブと、偏見をもたない女の子。一神教の物語といった感じはぜんぜんありません。この話を読むと「あの女の子に」そして「すべてを受け容れられるヨブに」少しでも近づくことができたら、と思える話です。
知らなかったのは、以下です。
−ダビデとゴリアテ
−サムソンとデリラ
−スザンナ
−ヨナ
−よきサマリア人
−ヨシュア
−ヨセフ
−エステル
失ってしまったものを、しみじみと実感したのが「よきサマリア人」。地位を持っていても、金持ちであっても、人を助けようとしない人もあれば、人から蔑まれるような立場にあっても、困った人を見過ごせない人もいる。後者のような人間になりたいと思うのが、ひととして自然だと思います。でも、世知辛い昨今、どんなことで、どんな逆恨みをされるかわかりません。命を賭けなければ、ひとも救えないと思えるような事件を次から次へと耳にします。そんな中で、私ひとりでも変われば、世の中なにか変わるのだろうか、と思わず自分に問いかけてしまいました。もちろん、簡単に答えは出ません。
でも、もしこの話を聖書の中で読んだ場合、私は、自分にこういう問いかけをしたのか考えてみましたが、たぶん、そこまで考えないような気がします。
そういう意味において、この新バイブルは、おもしろくもあり、有益でもあると思います。聖書に抵抗がある私が、これを機会に、聖書のことを少し調べてみたいという気持ちも生まれたのですから。