2021年01月09日

「投資 1 年目の教科書」

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高橋 慶行 著
かんき出版 出版

 老後 2000 万円問題が話題になり、なんとなく証券会社に口座を作ってみたものの、どう投資していいのかわからず、手にした本です。

『なんとなく』始めたほうがいいと思ったぐらいの感覚なので、この本から学ぶべきことばかりなのですが、読み始めてまず驚いたのが、目標値です。著者は、目標利益として、年利 30%〜40% という数字をあげています。これは、100 万円で始め、年利 36% で計算すると、10 年経過したとき、約 2000 万円増えている計算です。

 夢のような話なのですが、意外にも説得力がありました。理由は、著者が『大数の法則』を根拠としてあげているからです。(大数の法則とは、試行回数が大きければ大きいほど、結果として得られる出現率は理想の数値に近くなっていくというものです。コインを投げて表が出る確率は、数回だけではわかりませんが、何百回いえ何千回と投げていけば、ほぼ 0.5 になります。)

 著者は、およそ 3 分の 2 の確率で利益を得られることを淡々と続けていけば、この利益目標を安定的に達成できると主張しています。そして、その 3 分の 2 くらいの確率で利益を得られるような状況を見極めるために必要な知識、たとえば、ローソク足の見方、移動平均線の見方、トレンド相場とレンジ相場の違い、ダウ理論の理解、グランビルの法則の理解などを説明しています。

 これを一読して実践できるほどの理解力がわたしにはありませんが、著者が語る、メンタルをコントロールし『淡々と』トレードを続けていく重要性は、なんとなく理解できました。ただ、かなり詳細な記録を残すことを勧めていますし、仕事に追われながら片手間にこなすのは難しい気がしました。
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2021年01月08日

「NO HARD WORK! 無駄ゼロで結果を出すぼくらの働き方」

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ジェイソン・フリード/デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン (Jason Fried/David Heinemeier Hansson) 著
久保 美代子 訳
早川書房 出版

 タイトルを見て、にわかには信じがたいと思いましたが、著者たちがソフトウェアパッケージの開発を仕事としていることを考えると、いくらか現実味が感じられました。

 著者たちが共同創設者のベースキャンプ社で無駄だと考えることを実際に読み進めてみると、これまでわたしが大勢に抗えず口に出せずにいたことや、ずっと目を逸らしてきたけれど本当はそうすべきではないかと頭の片隅で思ってきたことが数多くありました。そのいっぽう、本当に思いつきもしなかったこともありました。

 わたしの勤務先の方向性とはまったく異なるものの、強く頷いてしまったのは『人が何かを好むか嫌うかを問題にするが、人はしばしば、好き嫌いより、使い慣れているかどうかを重視して、慣れているものがいいと考えるものだ。それを奪うのは暴力的な行為で、親切ではない』という部分です。

 これはソフトウェアのアップグレードの話です。ベースキャンプ社は、驚くことに、21 年にわたってリリースしてきたすべてのバージョンをサポートし続けています。もちろん古いバージョンをサポートするのにもコストはかかりますが、それはかつて自分たちが生み出した『遺産の維持費』と考えています。

 わたしの勤務先では、フィーにつき一種の従量制を採用しているプロダクトでは、多くのユーザーが使って大量のデータを処理している場合、つまり多額のフィーをいただいている場合、例外的に古いバージョンをサポートすることがあります。しかし、ベースキャンプ社ではユーザー数が多かろうと関係なく 1 社あたりの請求額をすべて統一しているため、このような発想は生まれようがありません。

 彼らの一律定額料金制度は、ズバ抜けて高い支払いをしている顧客、つまり要望を優先させなければならない顧客を生まず、自分たちの意思とさまざまな顧客の声に基づいてソフトウェアをつくる自由をもたらしたというわけです。業界の常識に捉われてきたわたしが思いつくことができない発想です。

 そのほかベースキャンプ社では、提案者が練りに練って会議で発表したことに対し、その場で聞いた人々が条件反射的に意見を言うのをやめて、文章化された提案を検討し、条件反射ではないフィードバックをすることにしています。また、さまざまな知識や経験を有し、周囲から頼りにされている人材が、自身の業務に支障をきたすことがないよう、大学のオフィスアワーのように相談を受ける時間を定めたりする工夫も実施しています。

 大きな気づきや参考になる小さな事例が詰まった本でした。
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2020年12月14日

「だから、もう眠らせてほしい」

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西 智弘 著
晶文社 出版

 著者は、緩和ケアに従事する医師で、安楽死を望む患者の意思にも一定の理解を示すものの、たとえ安楽死制度があっても、自発的に死に向かおうとする人をひとりでも減らしたいと考えています。

 そんな姿勢の著者が、実際に安楽死を希望した患者を診察した経験から、ご自身の考えを深めていったプロセスが、この本には書かれてあります。そのため、先ごろニュースになっていた ALS 患者のように身体的自由を失われた精神的苦痛がおもな理由と思われるケースなどは含まれず、安楽死を包括的に議論するということではありません。

 それでも著者が辿ったプロセスを読むと、共感できる部分と共感できない部分があることに気づかされました。

 自分のものとは違う考え方だと感じたことのひとつは、『日本と欧米では、死は個人のものなのか、家庭内のものなのかという文化的概念が異なる』というものです。たとえばオランダでは個人の生き方を尊重した結果、安楽死が増えているが、日本では安楽死制度があっても、周りの人たちに支えられていれば、安楽死は選ばないという意見です。わたし自身は、現代においてその対比は疑わしいと思っています。

 逆にそのとおりだと思ったのは、『安楽死に関係する人が強い人と弱い人に二極化している』という考えです。生き方と同様死に方を選ぶ発想から安楽死をひとつの選択肢として考える強い人がいるいっぽう、日本が貧しくなって相互援助が成り立ちにくい状況のなか周囲から見捨てられて安楽死しか選択肢がないように感じる弱い人がいるという意見です。その状況で良いというつもりはまったくありませんが、その現実を直視して議論していく必要はあると感じました。

 身近なところで緩和ケアを見た結果、自分が癌の終末期を経験するとしたら、持続的鎮静を選びたいと思うようになったので、医療の現場が鎮静をどう捉えているかわかったことは良かったと思います。
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2020年12月11日

「空ニ吸ハレシ 15 ノココロ」

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園田 由紀子 著
株式会社PHPエディターズ・グループ 出版

 帯には『往復書簡で描くある家族の物語』とも『実話を元に描く感動作』とも書かれています。いまの時代、実話が元になっていて往復書簡というのが、なんとも古風な雰囲気を醸しますが、2007 年から 2008 年にかけてのことなので、そう古い話ではありません。

 手紙をやりとりしているのは、夫と死別して老人ホームに入居した女性と、彼女の孫で入学を機に寮暮らしを始めたばかりの女子高生です。タイトルは、孫宛てに書かれた手紙に登場する石川啄木の詩の引用からきています。
 不来方 (こずかた) のお城の草に寝ころびて
 空に吸われし
 十五の心

 自らの若かりしころを思い、孫の年齢を思い、思い出した歌なのかもしれません。この祖母と孫の往復書簡が成立したのは、いまの若い世代のことばを説明しつつ祖母に宛てて手紙を書く理沙のやさしさと、孫の世代が知らない過去の話を伝えつつも押しつけがましい書き方を避ける妙子の思いやりがあったからだと思います。

 しんみりとする最後でしたが、いまの殺伐とした時代に心が和みました。
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2020年11月16日

「白内障かなと思ったら読む本」

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川原 周平 著
幻冬舎 出版

 眼にステロイドを使っていると白内障が進むという話を聞き、ステロイドを大量に使っている不安から、この本を手にしました。

 驚いたのは、眼科の手術でもコンピューターが導入されていることです。手術は、患者の眼を拡大して映し出す顕微鏡をのぞきながら行われます。著者が最新鋭の手術支援システムだと紹介する『カリスト・アイ』は、そこに術前の検査データやシミュレーション画像も映し出すそうです。

 これにより医師は、カリスト・アイが示す切開の位置などを画面で見ながら手術を進めることができ、安全かつ質の高い手術を実現することができるようになったそうです。ただ、高精度な機械を操作する医師にも相応の知識と技術が求められるため、誰でも容易く手術できるようになったわけではなさそうです。

 一番参考になったのは、白内障の手術をする病院を選ぶ際のチェックポイントです。

1. 硝子体手術ができる
2. 眼内レンズの選択肢が多い
3. 検査や手術に使う機器が新しい
4. 視能訓練士がいる
5. 『今すぐ手術を』と強要してこない
6. 乱視も矯正できる
7. 手術件数を過信しない

 5.だけは、素人でもわかりますが、そのほかの項目も将来参考にさせていただきたいと思います。
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