2009年10月04日

メアリー・ブレア展

 子供の頃、好きだった物語のひとつが「不思議の国のアリス」だったので、ディズニーの「不思議の国のアリス」のコンセプト・アート(映画全体の視覚的なスタイルやトーンを決めるために描かれるイメージ画)を手がけた人物がメアリー・ブレアだと聞いて行ってみました。

 これが実際のコンセプト・アートのひとつです。アリスが意外にぽっちゃりとしています。子供の頃のわたしはアリスのこのドレスが大好きでした。ピンクでもオレンジでもなく、青。

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 この展覧会ではじめて知ったアニメーションでは、この「小さな家」が気に入りました。もの言わぬ家のはずなのに、その喜怒哀楽が家だけでなく、全体の風景として伝わってきます。

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 ウォルト・ディズニーから高い色彩能力を認められたメアリー・ブレアは、ディズニー・ランドの「イッツ・ア・スモールワールド」も手がけています。カラー・スタイリストとしての力量を見せ付ける作品のひとつだと思います。複数のコンセプト・アートが展示されていましたが、わたしが一番気に入ったのはこれです。どの国にも属さず、どの国にも属すようなデザインに、この色の暖かさが合っている気がしました。

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 実際のアトラクションでも、あふれる色彩やあらゆる人種の子供に囲まれると、平和のイメージが強く伝わってきます。新しいキャラクターがどれだけ登場しても、「イッツ・ア・スモールワールド」だけは色褪せない強さを感じます。

 メアリー・ブレアは後年、作風が大きく変わったようです。それは、素人のわたしもわかるほど、大きな変化だったようです。そのなかで、わたしはこれが気に入っています。

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 クマが手にしているトランプはクマと同じように描かれているわけではなく、紙が貼られています。お茶目な雰囲気がなんとなくして好きです。

 メアリー・ブレアは、1908年生まれ。商業画家としてのスタートを模索していた頃、ちょうど世界大恐慌の時期でした。そのころ立ち上がりかけていたアニメーション業界には、恐慌のために仕事を得られなかった優秀な人材が流れ込み、メアリー・ブレアもそのひとりだったと説明されていました。もし、好景気でメアリー・ブレアがディズニーの世界に入ることがなかったら、ディズニー映画は違っていたかもしれないと思えるほど、インパクトのある作品群でした。

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2009年07月23日

奇想の王国 だまし絵展

 渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで6月13日から8月16日の会期で開かれているだまし絵展に行ってきました。入ってすぐ、パンフレットで大きく扱われていた「非難を逃れて」がありました。実物を見てもやはり、あの目に吸い寄せられるように見入ってしまいました。

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 この展覧会の一番の目玉は「ウェルトゥムヌス(ルドルフ2世)」。たしかに、果物の寄せ集めで顔を造る技にはだまされてしまいます。初来日だそうです。これと同じように魚の寄せ集めで顔を造った「水の寓意」というのもありましたが、やはり魚は魚。色目だけでなく、見た目の華やかさでは果物に遠く及ばず、長い時間眺めていたいものでもありませんでした。

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 果物や魚でそれらとまったく違うものを描写するのは、当展覧会では「イメージ詐術(トリック)の古典」という分類で紹介されていました。この古典という分類でわたしが一番驚いたのは、「ルドルフ2世、マクシミリアン2世、フェルディナント1世の三重肖像画」です。正面から見ると、ぼやけた人物像が3人見えます。しかし、角度を変え、左側から見るとルドルフ2世だけが、右側から見るとマクシミリアン2世とフェルディナント1世が見えるようになっています。制作年が1603年なのが驚きました。現代の感覚からすると難しい技術ではないかもしれませんが、400年も前にあったと思うと驚きです。

 日本の作品では、歌川国芳が数多く紹介されていました。これは「みかけはこはゐがとんだいゝ人だ」です。結われた髪の部分まですべて人です。

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 だまし絵と聞いてわたしが一番に思い浮かべるエッシャーの作品も数点ありました。何度観てもだまされてしまう絵です。

 そして、もうすぐ出口というところで、わたしがこの展覧会で一番だまされたのが「水の都」。パトリック・ヒューズの2008年の作品です。一緒に展覧会を観ていた人から「うしろを見て」と言われ、振り返ったらちょうどそこに「水の都」があり、正面から見える位置でした。少し位置を変えると水辺の建物が動くと言われ、首を左右に振ってみると、たしかに絵のなかの建物が動きます。不思議で仕方がありませんでしたが、斜めの角度から見ると、絵は平面ではありませんでした。建物の部分の表面が飛び出しています。正面から見ると、平らな絵にしか見えなかったのに、二度びっくり。どれも楽しいトリックでしたが、最後の最後に本当にだまされました。

 ちなみに、以下はBunkamuraのドゥ マゴ パリの「奇想の王国 だまし絵」記念メニューです。野菜の寄せ集めで目も楽しませてもらえるランチでした。

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2009年04月05日

生活と芸術−アーツ&クラフツ展

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 上野にある東京都美術館の展示会に行ってきました。サブタイトルが、「ウィリアム・モリスから民芸まで」。ウィリアム・モリスがあまりに個性的で印象的なので、ご一緒した方々はみなさんウィリアム・モリスがお目当てだったようです。残念ながら、ウィリアム・モリスと同世代のヨーロッパや日本(民芸)の作品も多かったです。展示順は英国(ウィリアム・モリスおよび一緒に活動なさった方々)から始まり、ヨーロッパ、日本と移っていきます。しかし、ウィリアム・モリスは最初の一部だけで、作品数としてはあまりに少なく残念だったという意見も多く、それにはわたしも同感でした。

 わたしの印象に強く残っているのは、三点。

 ひとつめは、「森」というタペストリー。緑の色合いも気に入ったのですが、描かれている動物がみな野性味に溢れていて、公園の中の作り物の森ではなく、本物の森をイメージできました。うさぎは、筋肉のついたスリムさが敏捷そうで、カゴで飼われているうさぎが可哀そうなのではないかと思えてきたほどです。1887年、ウィリアム・モリス、ジョン・ヘンリー・ダール、フィリップ・ウェッブによる作品で、羊毛と絹で織られているそうです。森や湖のあるお城の中に飾られるのが似合うくらい大きい作品です。

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 ふたつめは、「いちご泥棒」という内装用ファブリックです。1883年5月11日にウィリアム・モリスの作品としてデザイン登録されました。インディゴ抜染、木版刷り、植物染料、綿でできているそうです。デザインのきっかけは、朝ツグミがいちごを盗んでいくのを見て、思いついたのだとか。自分でも笑ってしまうのですが、こういう華美なファブリックはわたしが住むような狭い部屋には全然似合わないなどと余計な想像をしてしまうので、この手のファブリックにあまり強い興味はないのですが、例外的にこれには惹かれてしまいました。

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 最後は、時計。光陰矢のごとしという意味の英語が書かれてあります。1895年頃の作品で、マホガニー、顔料、金箔、真鍮、鋼鉄でできているそうです。持ったら重そうです。盤の数字の部分の文字がよくわからないのですが、不思議の国の時間があらわされている気分がして楽しいです。

 あと、期待していなかったけれども、見られてよかったものというのが、本。本好きにとっては垂涎ものでした。読めないのですが、持ってみたいなあと溜息がでました。たとえば、1893年1月25日発行のウィリアム・カクストン訳の「狐のレナードの物語」は、ウィリアム・モリスが出版したもので、手漉きリネン紙に手動凸版印刷です。A3サイズくらいの大判で、A4よりひと回り大きな枠内に文章があり、その外枠は、きれいなデザインが並んでいます。手間暇がかかっているこんな作品を見ると、ますます電子媒体の味気なさが厭になり、これからも紙の本を読みたいものだとあらためて思います。

 展示会などにあまり縁のないわたしですが、たまたまご一緒する機会があって行けたので幸運でした。
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2008年03月28日

女の子気分が味わえるワイン

 桜の花びらが入ったワインです。

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 ラベルには、次の説明がありました。
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ロゼワインにさくらの花を浸した香りのあるフルーティな甘口のワインです。国産で食用の八重桜を使用しています。
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 ほんのりとしたピンクの花びらは、まさしく桜色でした。

 ちなみに、このワインをつくられている会社の名前は、白百合醸造株式会社。会社名からして、フェミニンな雰囲気が漂っています。キャップに、社名がありますが、桜色に白字。

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 日曜の暖かな陽射しのもとで飲むには、こういう甘口のワインが似合うような気がしました。(しっかりとした辛口も好きは好きなのですが。)
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2008年01月23日

一宮神社から八宮神社まで

 兵庫県神戸市で一番広く知られている場所は、たぶん三宮だと思います。駅前には百貨店などもありますし、かなり賑わっているので、関西に住んでいる人で知らない人はいないでしょう。

 私も子どもの頃から三宮には時々行っていましたが、それでも三宮神社を知ったのはつい最近のことです。友人が案内してくれました。(そのとき、三宮という住所の由来がはじめてわかりました。)その三宮神社には、一宮神社から八宮神社の紹介が書かれた看板がありました。三宮という地名があるのですから、一宮や二宮があっても全然不思議ではないのに、それまで一度も考えたことがなく、興味が湧きました。

 調べてみると、毎年初詣の時期にかなりの人出がある生田神社の八柱の裔神(えだがみ)を祭った一宮から八宮までの神社(生田裔神八社)だとわかりました。

 その八宮を巡ると厄除けになる、ということなので、数日にわけて、それぞれを回ってみました。最初に行った三宮神社で、朱印帳を買い、それぞれの神社で朱印がいただきました。

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 数字の順序通り巡るといいようですが、最初に行ったのが三宮なので、そうもいきません。順序は気にせず、全部お参りしましたが、ご利益があるといいな、と思います。友人にその話をすると、各地に厄除け巡りはあるそうです。鎌倉にも、たしかあったと思う、と教えてもらいました。最近厄払いしたほうがいいかな、と思うようなことが続いているので、調べてお参りしたいと思います。
posted by 作楽 at 00:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 日常のできごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする