2008年02月28日

"pull the leg"

pullが引っぱるでlegが足。足を引っぱるといえば、波にのっている人を阻むイメージがあるのですが、全然違いました。

 この表現を見つけたのは、『Charlie And The Chocolate Factory』。
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"Is all this really true?" he asked. "Or are you pulling my leg?"
"It's true!" cried all four of the old people at once. "Of course it's true! Ask anyone you like!"
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 前後から、"pull one's leg"が、担がれているとかだまされているとか、そういうニュアンスだとわかります。

 『Scholastic Dictionary of Idioms』には、次の説明がありました。
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Pull your leg

Meaning:
to tease or fool someone; to jokingly try to lie to somebody

Origin:
By the late 1800s people sometimes tripped other people by catching their legs with a cane or running a string a across the sidewalk. Sometimes it was just for fun; at other times robbers did it to steal from the victim after he or she had fallen.
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 杖やひもなどで、ひとの足をひっかけて転ばせてしまう、といういたずらがもとで、からかうという意味が生まれたようです。でも、子どもの頃をふりかえってみても、そういういたずらをされた記憶がないです。もちろん、自分もしたことがないですし。私の感覚では、笑えるような冗談でもいたずらでもない気がします。

 『のぞき見トムとハットトリック』では、同じような表現が能動態で書かれていました。
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having their leg pulled
→担がれる

「足を引っぱられる」というのは、「だまされる」「ジョークで担がれる」ことを意味する。1867年以後スコットランドの詩に現れる次のような一節が、その起源になっているように思える。
「彼(カーク師)は説教し、しかるのちに老メグおばさんの足を引っぱり、彼女が死んでいることを会衆に示した」
 老メグおばさんは、罪を犯したため絞首刑に処せられた。牧師はおばさんの両足を引っぱってみて、おばさんがあまり苦しまずに即死したことを確信した。メグおばさんは、さんざんだまされ、ごまかされていたことで知られている。それなのに、濡れ衣を着せられて処刑された。彼女の足を引っぱって見せたのは、だまされた結果の総決算だ、とだれもが信じた。
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 19世紀頃という時期については、『Scholastic Dictionary of Idioms』とほぼ同じですが、起源説は違っています。

 しかし、足を引っぱって生死を確認するというのもどうでしょうか。なんとなく、ぴんときません。息をしているかをみるとか脈をとるとかではないんですね。しかし、だまされた結果の総決算に足を引っぱられるというのも、気の毒な話です。

 起源ははっきりしないようですが、現代において使われている意味が日本語とあまりに違うので、印象に残るフレーズです。

○○出典○○

『Charlie And The Chocolate Factory』
著者: Roald Dahl
出版社:Puffin

『Scholastic Dictionary of Idioms』
著者: Marvin Terban
出版社:Scholastic Reference

『のぞき見トムとハットトリック』
著者: アルバート ジャック
翻訳: 仙名 紀
出版社:小学館
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2008年01月24日

"soap opera"

 私のお気に入りシリーズ「Sammy Keyes」の6冊め、『Sammy Keyes and the Hollywood Mummy』で、興味惹かれることばを見つけました。"soap opera"。

 この本の主人公Sammyは、老人専用住居におばあさんと暮らしています。本来子供が住めない家に隠れて住む羽目になったのは、どうしてか。老人専用住居でひとりで暮らすおばあさんのところにSammyを預け、お母さんが女優になるためHollywoodに行ってしまったからなのです。

 そんなお母さんのことを、お母さんとも呼べず、Lanaさんと名前で呼ぶSammy。そんな気持ちを抱えているSammyが突如、Hollywoodに行って、お母さんと対決しようと決めます。

 Sammyがお母さんを訪ねたとき、お母さんはちょうど、あるテレビ番組で降板することになっている女優の後任の最終オーディションに残っているという状態でした。

 その番組は、どうも"soap opera"といわれる類のもののようです。

 最終オーディションの前に、お母さんが今までの番組を見ながら、登場人物をチェックしているシーンで、このことばが出てきます。
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 She says, "I'm sorry," then laughs and adds, "I guess I should've left a note." She points her pen at the TV and proceeds to explain who's who on the soap opera she's watching and what she's looking for.
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 次はまた、別のシーンです。お母さんがHollywoodで仕事に就けるようになったら、SammyもHollywoodに引っ越してしまうのかと心配している友人Marrissaに、先のことはわからないと答えている状況です。ここでも、"soap opera"が出てきますが、先のことが不確定な番組のような雰囲気です。
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 I looked out the window and tried to tell myself that it was too early to start worrying about that. That between now and then, anything could happen.
 Especially on a soap opera.
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 "soap opera"が具体的にどんな番組を指すのか調べてみました。そうしたら、soap operaばかりが集められた『Soap Opera Digest』というサイトがありました。どうも、『Soap Opera Digest』という週刊誌もあるようです。なんとも、すごい。これだけたくさんの番組があるのか、と驚いてしまいました。

 調べてみると、この"soap opera"は、そのままカタカナにした"ソープオペラ"ということばで、日本語でもかなり使われているようで、"昼メロ"ということばが一番近いように思います。

 『Wikipedia』によると、"soap opera"と呼ばれる理由は、石鹸(soap)メーカーが番組スポンサーになることが多いからだそうです。また、15分の番組枠が一般的だったのですが、年を経るごとに30分、1時間と長くなり、現在では8番組のうち7番組が1時間枠で平日毎日放送されているそうです。

 また、長寿番組が多いため、何年も放送されている間に、同じ役に違う俳優が次々と登用されることもあるようです。わりと柔軟なようですが、このあたりのことをSammyは言っているのかもしれません。

 平日の昼間、人気のある番組は案外日米でもあまり差がないのでしょうか。

○○出典○○

『Sammy Keyes and the Hollywood Mummy』
著者: Wendelin Van Draanen
出版社:Yearling Books

『EPWING版CD-ROM 新英和大辞典&新和英大辞典』
出版社:研究社

『Wikipedia』
URL:http://en.wikipedia.org/wiki/Main_Page

『Soap Opera Digest』
URL:http://www.soapoperadigest.com/
posted by 作楽 at 00:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 本で見つけた表現(英語) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月13日

"black sheep of the family"

 『Assassin (Lady Grace Mysteries)』は、ここでは何度かご紹介しているミステリです。その主人公である13歳のGraceには婚約者候補がいて、Charlesはその一人です。"black sheep of the family"が出てくるのは、Charlesの双子の弟が戦死したという話をGraceにする場面です。
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 In truth, he was always the black sheep of the family -- and oftentimes up to no good -- but he was my brother still.
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 どうやら、あまり誉められた弟ではなかったようです。しかし、"black sheep of the family"がどうして否定的な表現になるのか気になって調べてみました。

 『Scholastic Dictionary of Idioms』には次のような説明があります。
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Meaning: the most unsuccessful, least admirable member of a family or similar group; a disgraced person

Origin: This expression has been used at least since the early 1800s to describe a person who is a disgrace to a community or family. Shepherds did not like rare black sheep since their fleece could not be dyed any color and there weren't enough of them to sell black wool. Some people also thought that the black sheep frightened the rest of the flock and came from the devil. The saying changed over time to mean disfavored people in a family or group.
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 なるほど。扱いに困るという点がポイントのようです。優秀な一族に悪者がひとり、という状況ではその毛色の違う人物の扱いに困るでしょう。一方、群れの中の黒い羊は、数が少ないため黒のウールとしてまとまって売ることもできず、他の色に染めることもできず、扱いに困ります。さらに、他の羊に悪い影響を与えるのでは、という妄信もあれば、なおさら敬遠したくなるというものです。

 しかし、比喩ではなく、数が少ないとはいえ、本当に黒い羊がいることは知りませんでした。

○○出典○○

Assassin (Lady Grace Mysteries)
著者: Patricia Finney
出版社:Delacorte Press

Scholastic Dictionary of Idioms
著者: Marvin Terban
出版社:Scholastic Reference
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2007年07月10日

"Break the ice"

 『Assassin (Lady Grace Mysteries)』は、16世紀のイギリスが舞台で、エリザベスT世に仕えるGraceという13歳の少女が主人公です。犬と戯れたり、木に登ったりするのが好きな、ちょっとやんちゃなお嬢様なのですが、殺人事件が起こるとその調査に乗り出すような好奇心旺盛さも持ち合わせています。といっても、その殺人事件の容疑者がまさに婚約しようとしていた相手となれば、仕方がありませんが。

 その『Assassin』の中には、Graceが婚約者を選ぶパーティの場面で次のような描写があります。
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 They (cushions) had laid a floor of polished wood to dance on and the musicians in the corner began a Burgermeister dance to break the ice. It's such a silly German dance; you can't be dignified when you're wagging fingers and linking arms.
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 "break the ice"という表現がひっかかったのは、"ice breaker"という表現についてのスピーチを聞いた記憶があったからです。それなのに、残念なことにその内容が思い出せません。

 『Scholastic Dictionary of Idioms』には、"Break the ice"の起源が以下のように解説されています。
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 As early as the late 1500s and early 1600s, writers like Shakespeare were using this expression. It originally came from navigation through waterways frozen over with ice. Special boats had to break through the ice, clearing the way before any ships could sail. The meaning was transferred to getting a conversation started or making an acquiaintance. "Ice" in this idiom represents a cold or awkward feeling among people, especially strangers.
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 "break the ice"は、1500年代の終りあるいは1600年代の初頭に、シェークスピアなどが用いた表現だそうです。元々、氷を粉砕する機能を持った船が先導し、氷海を進むさまを、知らない人同士の会話の始まりに喩えられるようになったようです。氷は人と人の間の、特に知らない人同士の、気詰まりな雰囲気を指しているのだそうです。

 『Wiktionary』で、"ice breaker"を検索すると、氷が張った海を先導する、氷を砕く機能を持った船の説明のほかに、次のような説明もありました。
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 A game, activity, humourous anecdote, etc., designed to relax a group of people to help them get to know each other.
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 『Assassin』にあるダンスも、その時代においては、知らない人同士の雰囲気を和やかにするものだったので、"ice breaker"に含まれるのでしょう。

 しかし、知らない人同士のあのぎこちない雰囲気をiceに喩えるのは、ぴったりのように思います。

○○出典○○

Assassin (Lady Grace Mysteries)
著者: Patricia Finney
出版社:Delacorte Press

Scholastic Dictionary of Idioms
著者: Marvin Terban
出版社:Scholastic Reference

『Wiktionary』
URL:http://en.wiktionary.org/wiki/Wiktionary:Main_Page
posted by 作楽 at 00:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 本で見つけた表現(英語) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月18日

"put one's foot in one's mouth" (="put one's foot in it")

 私が大好きな児童書のシリーズ、Sammy Keyesは、Sammyというニックネームの13歳の少女が主人公です。Sammyは父親が誰か知らされていません。また、母親は育児を放棄しSammyを祖母に預けてしまいます。Sammyはぐれても仕方がないような状況に置かれているのに、人にはとても優しい一方、いじめっ子に対しては敢然と立ち向かっていき過ぎて、罰を受けてしまう面もあるおちゃめな中学生です。

 そんなSammy Keyesシリーズの第4弾、『Sammy Keyes and the Runaway Elf』では、Sammyは無理やりペット探しをする羽目に陥り、あちこち人に尋ねまわることになります。そこで、質問を投げかけた女性から、ためらいがちにこう言われます。
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 "Sometimes I really put my foot in my mouth."
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 続いて、Sammyはこう返します。
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 I laughed and said, "Well, you don't have to worry about that with me! I do that all the time. Besides, Mrs. Landvogt isn't exactly easy to like."
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 Sammyがしょっちゅうしている"put my foot in my mouth"って一体何なのでしょう。文字通り、足を口に入れるなんてことはできません。

 『新英和大辞典&新和英大辞典』には次のように載っています。
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put one's foot in [into] it [《主に米》 in one's mouth] 《口語》
(1) (うっかり踏み込んで)苦しい羽目に陥る.
(2) 失敗する, へまをする, どじを踏む; へまなことを言う.
《1798》
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"put one's foot in one's mouth"だけでなく、"put one's foot in it"という言い方もあるようです。後者の場合だと、知らなければ、私の場合、"it"は前出の何かと勘違いしそうです。1798年が記録に残っている最初だとすると、最近できた言い回しではないようです。

『Scholastic Dictionary of Idioms』には、その語源が載っていました。
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 This saying was first used in the late 1800s and early 1900s, and may have been suggested by "foot-and-mouth disease," a serious infectious sickness that affects cattle, sheep, pigs, and goats. But today this expression has nothing to do with a disease. A baby can easily put her foot into her mouth, but older people can't do it unless they're contortionists. It's a good thing, too, because they'd look pretty ridiculous. We use this expression when someone makes a verbal blunder by saying what he should not say just when he should not say it. So if you tell your friend that the cake had made you sick without knowing that he had baked it, you "put your foot in your mouth." Of course, if your foot were really in your mouth, you couldn't say the foolish thing to begin with, and that would be good.
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1800年代後半から1900年代前半においては、口蹄疫(こうていえき)という難しい名前の極めて伝染力の高い家畜の病気に使われていたことばのようです。

『ウィキペディア』によると口蹄疫は、口や蹄に疱疹ができるようなので、"foot-and-mouth"なのでしょうか。
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一般的には、感染すると発熱、元気消失、多量のよだれなどがみられ、舌や口中、蹄の付け根などの部位に水疱が形成され、それが破れて傷口になる。
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 しかし、現代の"put one's foot in one's mouth"と口蹄疫とはまったく関連ないようです。どこからどう変化したのか知りたいところですが、それは載っていません。ただ、たしかに、足を口に入れている姿は滑稽で「へま」をしたイメージと合いますし、実際に足が口に入っていたら、失言をする可能性はありません。そういう意味では、失言をしないように足ででも口を塞いでいたほうがいいことを指すのでしょうか。あくまでも想像でしかありませんが。

○○出典○○

『Sammy Keyes and the Runaway Elf』
著者: Wendelin Van Draanen
出版社:Alfred a Knopf

『EPWING版CD-ROM 新英和大辞典&新和英大辞典』
出版社:研究社

『Scholastic Dictionary of Idioms』
著者: Marvin Terban
出版社:Scholastic Reference

『ウィキペディア』
URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8
posted by 作楽 at 01:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 本で見つけた表現(英語) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする