岡野 宏文/豊崎 由美 著
ぴあ 出版
過去百年を10年ずつ区切り、それぞれの時代のベストセラー本を語る対談が本になったものです。「ベストセラーに良書なし?」という疑問がもとになった対談のようです。といっても、おふたりの職業を考えると、それはたぶん単なるアイキャッチャーとしてのフレーズなんでしょうけれど。
しかもあの大作をもじったタイトル。大胆な本だと思って読み始めましたが、半世紀近く生きてきた眼で、こうして10年ずつベストセラー本を眺めていくと、良書であろうとなかろうと、たしかにそういう時代もあったし、いまとなっては懐かしいと感じる本が数多くありました。特に、松本清張とか俵万智とか。
おふたりが好き勝手に本を評しているこの本を読めば、本をどう読みどう評価するかは、各自のまったくの自由ということが、よく伝わってきます。一番おもしろかったのは、豊崎氏が村上春樹の作品を酷評した件を謝る場面です。わたしたち一読者にとっては、読んだあと「おもしろかった」と思うか「つまらなかった」と思うかだけの問題ですが、おふたりのように仕事として本を扱えば、村上作品のように中途半端な位置づけは困ったんだろうな、と思います。ファンタジー作品ともいえない、あの微妙な空想世界というか。
ぐっと若い世代にとって、読んでおもしろい対談かは疑問ですが、学校で名作と教えられている作品がこのなかでどう扱われているかを読んでみるのも、悪くないと思います。

