2009年01月09日

「Takeoffs and Landings」

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Margaret Peterson Haddix 著
Aladdin 出版

 わたしにとって、3冊めのMargaret Peterson Haddix作品。少し物足りなかったです。「Double Identity」や「Escape From Memory」のような、ページを繰る手を止められないような感じはありませんでした。サスペンスではなく、ホーム・ドラマ的な作品だからという理由が大きいとは思いますが。

 表紙やタイトルからわかるように、飛行機の離陸と着陸になぞらえたストーリーになっています。表紙にある飛行機の窓から見えている女の子と男の子が主人公です。女の子は14歳のLori。男の子は15歳のChuck。ふたりは兄妹です。

 8年前、ふたりの父親は亡くなりました。それを機に、両親が運営していた農場を手放し、家族そろって母親の両親のもとで暮らすようになりました。そして、母親は全国から寄せられる講演依頼に応じるため、頻繁に出張するようになりました。

 夏休みの時期になって、母親は突然、5人いる子どものうち、上のふたりである、ChuckとLoriを次の2週間の出張に同行させると言い出します。

 オハイオ州のピックフォード郡から出たことがなかったChuckとLoriは、シカゴ、アトランタ、フィラデルフィア、フェニックス、ロサンジェルスと、母親の講演についていきます。子どもたちは、大勢の人の前で盛大な拍手で迎えられスピーチする母親の姿をはじめて目にします。

 Loriは、母親が一緒に時間を過ごせないあいだ、馴れない場所で何をすればいいのか途方に暮れ、ピックフォードで居場所のあった自分を思います。そして、空虚なホテルという空間で時間を過ごす母親の暮らしがどんなものかと考えたりします。

 一方、Chuckは美術館という自分が時間を忘れて熱中できる場所を見つけます。長らく描いていなかった絵をまた描くようにもなりました。

 そして、この出張に子どもを連れてくると決めた母親自身は、しっくりこない関係を修復したいと考えていました。優等生なのに、Chuckや母親には冷たくあたるLori。太っていることをからかわれて、自分の殻に閉じこもっているように見えるChuck。父親が亡くなったとき、ChuckとLoriは仲良しでした。この旅行が、あの頃の関係に戻るきっかけにならないかと思っていました。

 しかし、普段以上にぎくしゃくとした関係のまま、離陸と着陸を繰り返す家族。そして、最後のロサンジェルスで、ひとつの山を乗り越えるきっかけが見つかります。

 14歳や15歳という難しい年頃、こんなにやすやすとハードルを越えられるかな、と思ったりもしましたが、「ほんわか」しているのは、物語としてそれはそれでいいような気もします。
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2008年08月04日

「When Heaven Fell」

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Carolyn Marsden 著
Candlewick 出版

 コンピュータ・エンジニアとして働いていた頃、ベトナムからいらした研修生と机を並べて作業したことがあります。アウトソース先で、窓口になる人たちを育成しようという計画があり、日本での仕事を学びに来られたそうです。中国へのアウトソースが当たり前になっていた当時、リスク分散として新しいアウトソース先に選んだのがベトナムです。一番の魅力は人件費の安さです。中国と比べて半分もみておけば十分なくらい安いのです。そして、実際に研修生を受け入れてわかったメリットは、現場の精神的負担が少ないことでした。研修担当者によると、昔の日本人に似ている気がするそうです。具体的には、自発的に朝は早くから出社し、勉強されるそうです。また、言われたこと以上の成果を出すための知恵を絞りつつ、謙虚にアドバイスを受け入れるそうです。とても、耳が痛かった記憶があります。

 ベトナムと日本の間には、わたしなどに語れない複雑な過去がありました。それでも、反発的でなく謙虚な姿勢で仕事を請けようとするのは、実は難しいことではないかという気がします。

 そんなことを思い出させてくれたのは、この本です。この著者の本は初めてなのですが、とても心理描写に優れていると思います。語り手である少女の心の揺れが伝わってきます。

 ベトナムに住む主人公Binh(ビン)は、ある日突然、アメリカ人の伯母がいることを知らされます。祖母は米兵との間に娘がいました。しかし、貧しさや偏見などもあり、育てていくのが難しくなり、養子縁組のプログラムに託しました。そして、今、成人した娘が母に会いたいと訪ねてくることになったのです。

 Binhは映画で見たことしかない豊かな国アメリカに想いを馳せます。伯母に連れられ、アメリカに移住することを夢見ます。そして、Binhと同じように、親戚中が夢を抱きます。金持ちのアメリカ人が親戚となれば、家族揃ってアメリカに移住できるかもしれない、少なくとも経済的な援助を受けて、この貧しい暮しから逃れられるかもしれない、と。

 しかし、そんな思惑を察することもできないDi Hai(年長の伯母という意味)は、親戚に豪華な土産を持ってくることもなく、質素な身なりでやってきます。しかし、ベトナムの親戚は何も言うことができません。

 そして、ある日、BinhはDi Haiに、アメリカに連れて行ってくれないかと訊きます。そこで初めて、Di Haiは、親戚の期待を知らされます。アメリカで教師として自立しているとはいえ、雇われの身でできることではありません。連れて行けないという答えを聞いたDi Haiは動揺して、Di Haiはもっと親戚のためにすべきことがあると主張します。困惑しているDi Haiを前に、Binhの両親はBinhにこう言います。アメリカの映画ばっかり見ているから、人を思いやるベトナムの礼儀を忘れてしまったのよ。

 たしかに、このベトナムの家族には礼儀をわきまえるという考えが伺えます。貧しいながらも親戚が集まり、Di Haiをもてなそうとする。裕福なDi Haiに助けを期待しながらも、それを言い出せない。貧しくても、人に優しくしようとする。

 結局、このBinhのひと言から、ふたりはお互いへの理解を深める道すじを辿ります。Di Haiはベトナムの現実を知り、Binhは異国で暮らすことによって失うものを知り、そして近すぎて気づかなかった自分の気持ちや目の前の家族・親戚・先祖に対する想いに気づきます。最後には心あたたまる結末があります。

 希望ということばを思い出しました。
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2008年03月18日

「The Stowaway Solution (On the Run 4)」

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Gordon Korman 著
Scholastic Paperbacks 出版

 「Chasing The Falconers (On the Run)」「The Fugitive Factor (On the Run 2)」「Now You See Them, Now You Don't (On the Run 3)」ときて、4冊めです。15歳の少年と11歳の妹、そこまで頑張るか!?という展開で進みます。

 ふたりは、タイトルにあるように、船で密航するという大胆な逃走を試みます。Los Angelesの港から石油を運ぶ船で、Seattleまで逃げようというのです。前巻で、Aiden(兄)とMeg(妹)の逮捕に繋がる情報に対し、2万5千ドルの賞金がかけられてから、ふたりの逃走路は、より簡単にFBIに把握されるようになっています。道路や鉄道が封鎖されているのなら、今度は海を逃走路に利用しようというのです。

 しかし、船上で不正乗船がばれてしまい、救命ボートで嵐の海に降りることになってしまいます。そして、嵐の中、ふたりは離れ離れになってしまいます。

 そんな状況でも、ふたりは諦めるということを知りません。父親と母親の無実を信じ続け、潔白を証明することだけを考えて、FBIから逃げ、手がかりを追います。おとなが主人公なら、こうはならないのでしょうか。

 読む進めるごとに、「そこまでするか!?」と思う機会が多くなってきたシリーズです。
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2008年03月10日

「Now You See Them, Now You Don't (On the Run 3)」

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Gordon Korman 著
Scholastic Paperbacks 出版

 「Chasing The Falconers (On the Run)」「The Fugitive Factor (On the Run 2)」に続いての3巻め。とうとう、探していたCIAの捜査官のFrank Lindenauerの役回りが見えてきて、「物語が進んだ」という気がします。おとなが読むと、ぼんやりではあるもののFrankの輪郭は最初から見えているのですが、やっぱり実際に見えてくると、どういう終わり方をするのか、気になってきました。

 もうひとつ気になったのは、兄と妹のお互いを見る目。もちろん、物語が進まないといけないわけですから、色々な事件が起こるわけですが、その対処が兄と妹でまったく違い、ふたりの性格の違いや、相手に対する評価を読んでいくのは興味深いです。たぶん、私自身に性格が正反対な妹がいるからでしょう。

 今回も話の主流から離れた事件が起こりました。それは、International Crewという少年ギャングたちと関わりあい。最初は、リーダーのBoという少年が、敵から殺されそうになるところを、偶然目にしたAidenが助けてしまうところから始まります。次に、それに恩義を感じたBoがAidenとMegの力になろうとします。そして、実際に危ないところをBoに助けられることになったふたりは、意外なかたちで、Boを守ります。そういう手を使う?と、感心してしまいました。

 Frankがどういうかたちで終わりを迎えるのか、兄と妹にまんまと逃げられ続けたFBI捜査官のEmmanuel Harrisが、間違ってAidenとMegの両親を逮捕したことに対して、どういう結着がつくのか、終わり方の想像がつかない分、今まで以上に先が気になってきました。
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2008年02月26日

「Charlie and the Chocolate Factory」

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Roald Dahl 著
Penguin 出版

 Roald Dahlを絶賛する知人がいるのですが、納得してしまいました。映画に取り上げられるのも納得してしまうくらいおもしろいです。

 本を読む前に私が知っていたあらすじはこの程度です。チャーリーという男の子が、チョコレートに入っているゴールデン・チケットを手に入れ、すごいチョコレート工場の見学に行くというもの。

 本を読むと、このチャーリーは、並大抵の貧乏ではありません。母方の祖父母と父方の祖父母と両親と暮らしているのですが、その家にはベッドがひとつしかありません。祖父母たち4人はそこで寝たきりで、母親はその面倒を見るために家にいます。父親が唯一の稼ぎ手なのですが、それも工場の流れ作業で、家族が十分に食べることもできません。だから、チャーリーがチョコレートを食べられるのは1年に1度だけ。そのチョコレートも最初は眺めるだけど、これ以上我慢できないというところまできたら、ほんのひとかけ食べ、次の日もほんのひとかけ食べ、とゆっくりゆっくり味わうのです。

 そして、そのチャーリーの誕生日が目前に迫った日、チョコレート工場のオーナー、Willy Wonkaがゴールデン・チケットのことを発表します。昔、チョコレートやガムのレシピをスパイに盗まれて以降、誰も入れたことがない工場に子どもを5人だけ招待するための、ゴールデン・チケットです。

 ああ、チャーリーの誕生日プレゼントのチョコレートに、ゴールデン・チケットが入っているのか!と内心盛り上がったのですが、誕生日プレゼントにはチケットは入っていませんでした。

 いつチケットが当たるのか、やきもきしながら読み進めるのですが、さらにやきもきするのが、工場に見学に行ってから。次はどんなお菓子を作っているところに行くのか、子どもたちは何をしでかすのか、はらはらしながらも、突拍子もないことが次々と起こって、一気に読めてしまいます。

 エキセントリックなWilly Wonkaをジョニー・デップがどう演じているのか、突拍子もないお菓子に工場の設備がどう映像化されているのか、読み終えたら、映画も見てみたくなりました。
posted by 作楽 at 00:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 洋書(Age:9-12) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする