2007年10月01日

「Pigeon Post」

20071001[PigeonPost].jpg

Arthur Ransome 著
Red Fox 出版

 サザエさんは、いつまでも変わらないテレビ番組のひとつだと思います。今でも携帯電話が出てこないで、駅前の公衆電話を使っていたりします。また、子供たちもテレビゲームやポータブルゲーム機で遊んだりしません。夏休みになると、どこにも遊びに連れて行ってもらえない子供たちは、庭でテントを張りキャンプ気分を味わったりしながら、子供たちだけの冒険のふりを思い切り楽しんだりしています。

 昔のすべてがよかったと言うつもりもありませんが、サザエさんの中の人たちを見ていると、どこかでほっとしていて、その状況を一緒に楽しんでいると思うときがあります。

 このArthur Ransomeのシリーズもそんな気分になれる児童書です。

 Arthur Ransomeは、20世紀前半にイギリスの湖畔地方に住んでいたそうです。そのあたりの風景がこの「Pigeon Post」にも盛り込まれている気がします。

 Roger、Titty、Nancy、Peggy、John、Susan、Dick、Dorotheaという8人の子供たちだけで、金を掘り当てようと金脈があると思われる場所にテントを張り、キャンプをします。

 子供たちは年齢の幅はあるものの、所詮大人からみれば、子供。子供たちだけのキャンプは当然大人からの反対にあいます。しかし、それをひとつひとつ解決しながら、子供たちは金鉱探しのキャンプを実現させてしまいます。

 たとえば、水。金脈があると推測している場所の近くでキャンプしようにも水がありません。手や顔を洗ったり清潔に過ごすための水がないとキャンプは無理と言われてしまいます。そうすると、ダウジングをして水源を探し当て、水を確保します。

 また、問題なくやっていることを毎日大人に知らせるよう求められます。そこで考えたのが伝書鳩。この本のタイトルになっている鳩です。3羽いる伝書鳩を毎日家まで飛ばし、3日に1度だれかが家からキャンプ場まで鳩を連れ帰るという計画です。しかし、鳩がいつ帰ってくるかわからないのに、それを見張っているわけにはいかないと大人に言われると、鳩が鳥小屋に入るとベルが鳴り続ける仕組みをつくり、大人を説得します。

 次々と立ちはだかる問題に対処しながらやっと実現するキャンプ。しかも、宝探しつき。そんな経験はしたことはありませんが、今流行りのゲームとはまったく違った楽しみが伝わってきます。

 そして、楽しいのはキャンプだけではありません。金脈探しです。しかし、こちらにも問題が持ち上がるのです。自分たちが探している金をほかのだれかも狙っているようなのです。そのライバルより先に金を見つけなくてはなりません。

 そして、さらなる事件や意外な結末も用意されていて、Arthur Ransomeが過ごした湖畔の風景を思い浮かべながら、楽しめます。

 「Pigeon Post」は、「Swallows and Amazons」で始まるシリーズで、私はたまたま縁があってこの本から読み始めましたが、「Swallows and Amazons」から読み始めるほうが、より楽しめるのではないかと思います。
posted by 作楽 at 00:23| Comment(2) | TrackBack(0) | 洋書(Age:9-12) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月09日

「Chasing The Falconers (On the Run)」

20070709[ChasingTheFalconers(OnTheRun)].jpg

Gordon Korman 著
Scholastic Paperbacks 出版

 「Rose Queen」のMissing Personsシリーズと同じく、未成年が犯罪に関わってしまうシリーズ。といっても、こちらも、なんともいえない複雑な事情があり、いたしかたないといった雰囲気で、同情してしまいます。

 この本が、Missing Personsシリーズと大きく違うのは、ハラハラドキドキ具合です。Missing Personsシリーズの比ではありません。Missing Personsシリーズ第1巻の「Rose Queen」は、とりあえず逃げ出したものの、逃亡先ではそれなりに穏やかな日常を手に入れられそうな雰囲気で終わります。一方、こちらは、どこまで逃げるのかさえもまだ見えず、追いかけられている状況の中、ある人を追いかけなければならないという使命を背負っているのです。

 主人公は、15歳の少年Aidenと11歳の少女Meg。ふたりは、少年矯正施設で生活していますが、別に犯罪を犯したわけではありません。両親がある事件の犯人として逮捕され、終身刑を宣告されてしまったため、行き場がないだけなのです。もちろん、親戚からは冷たい目で見られ、ひきとってもらえるどころの話ではありません。

 しかし、彼らは親戚と違って、両親の無実を信じているのです。

 博士号を持ち、教授という職に就いていた両親は、犯罪学者です。あるとき、CIAのある捜査官の依頼を受け、テロリストを見つけ出すのに協力します。しかし、両親の情報がテロリスト側に漏れ、テロリストは探し出されていることを知ります。そのことにより、状況は一変します。両親はテロリストに加担した、つまりテロリスト幇助の罪で訴えられてしまうのです。CIAからの依頼であることを証明できればいいのですが、その捜査官が名乗りでてきてくれず、会うことができません。

 そして、AidenとMegが目指すのは、そのテロリスト探しを持ち込んだFrankというCIAの捜査官を探し出し、両親の無実を証明するというもの。

 15歳の少年と11歳の少女には大き過ぎる負担だとAidenは思いながらも、Megの一途な思いに突き動かされながら、施設から逃亡した後、Frankの手がかりを探します。

 とにかく、スケールが大きい分、スリルも大きいので、ドキドキ感を味わいたい方はどうぞ。
posted by 作楽 at 00:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 洋書(Age:9-12) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月04日

「Assassin (Lady Grace Mysteries)」

20070704[Assassin(LadyGraceMysteries)].jpg

Patricia Finney 著
Delacorte Press 出版

 女王に仕える女性たちはMaid of Honourと呼ばれたそうです。女王の着替えを手伝ったり、話し相手になったり、大切なペットの散歩をいいつかったり、身の回りのお世話をするのですが、大体は良家の(資産家の)子女で、宮廷において将来有望な夫を探すために仕えているような感じです。

 この本の主人公、13歳のLady GraceはエリザベスT世のMaid of Honourという設定です。しかも、彼女の母親も同じようにエリザベスT世に近しい人だったのですが、女王を殺害するために仕込まれた毒入りワインを代わりに飲んで死んだため、Lady GraceはことさらエリザベスT世に可愛がられているという背景が描かれています。

 そのGraceが探偵役をつとめるこのシリーズの第1作である「Assassin」は、彼女の求婚者としてエリザベスT世が認めた3人の男性のうち1人が殺され、1人がその容疑者になるというものです。エリザベスT世から、真相を探り出す許可を得たGraceは、宮廷で洗濯をして働くEllieと曲芸師のMasouの力を得て、犯人をあぶり出します。そして、そこには自分自身の身に起こった不運な災難も隠されていました。

 この本は、Grace自身の日記という形で書かれています。そのため、少女の視点で物語が進んでいくのですが、そんなことを少女が知っていいのか、あるいはそんなことを少女が思うのかしら、と思うようなことがいくつも出てきます。やはり、英米あたりの中学生くらいだと、そういう現実を見ているのかな、などと思ってしまいます。

 Graceは女王の庇護下にあり、両親から受け継いだ資産を管理してくれる後見人も居て、将来16歳になったとき、結婚し夫がその財産を管理し、Graceの面倒をみてくれることになっています。(そのあたりの、男性に頼りきった女性の暮らしというのは、エリザベスT世の時代に合わせてあります。)しかし、Graceは、求婚者がお金目的でGraceを選んだこと、結婚には必ずしも愛が必要ではないこと、などを自ら学んでいきます。

 なんとなく、夢見る少女を想像したい私としては、過酷な現実をそんなに早くから知らなくてもいいのではないかと思ってしまいます。

 「The Switch」にしろ、「Rose Queesn」にしろ、英米圏の子供たちが、ませているというか、大人びているというか、うまく表現できないのですが、日本の子供たちと比べて自立しているように感じてきたのですが、またこの本でもそういう思いを強くしました。

 やはり、それが文化の違いなのでしょうか。

 物語自体は、最初の部分はその時代の背景がわからず停滞しがちですが、Graceが探偵役として動き出した途端におもしろくなり、最後まで一気に読める魅力があります。価値観や装いなどはその時代に合わせているとはいえ、文体はほとんど現代のものですし、ストーリーも特に時代がかっていないので、読みやすいと思います。
posted by 作楽 at 00:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 洋書(Age:9-12) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月15日

「Scholastic Dictionary of Synonyms, Antonyms, and Homonyms」

20070515[ScholasticDictionaryOfSynonymsAntonymsAndHomonyms].jpg

Scholastic Inc. 著
Scholastic Reference 出版

 対象年齢が9歳から12歳に設定されている、同意語、反意語、同音異義語のリファレンスです。それくらいの年代の英語を母語とする子供が、学校で与えられた課題を書く際に、限られた語彙の中から繰り返し同じ単語を使わず同じ内容を言葉を変えて表現できるようになるためのリファレンスのようです。

 英語を外国語とし、大人になっても勉強している私個人が感じる印象としては、リストアップされている単語(インデックスになっていて、辞書としてひけるようになっている単語)自体は、たぶん9歳から12歳くらいの子供が知っているのが理想とされるような範囲ではないかと推測します。一方、同意語あるいは反意語として列挙されている単語は、それ以上のレベルではないでしょうか。もし、9歳から12歳の子供がこのリファレンスに載っているすべてを勉強することを期待されているとなれば、かなりのショックを受けるレベルだと思います。私などは、一生12歳の子供レベルに達することはできないと、打ちひしがれてしまうかもしれません。

 実際に自分の持ち物にこの本を加えてみると、リファレンスとして使うというよりは、時々眺めるために置いています。パラパラとめくりながら、この単語とこの単語は、こういう部分が意味として重なっているなと考えたり、知っている単語の復習に使ってみたり、見たような気はするけど思い出せないような単語の類語を確認してみたり、どちらかというと知識の整理として使っています。

 試験対策のために単語リストから覚えた単語も、この本の中で見ると、その深みを感じます。この単語とこの単語が同意語に分類されるなんて、という意外性があるからです。

 私にとって、読むでもない、ひくでもない、守備範囲のあやふやな1冊で、英語に本当に自信が持てるまでは持ち続けるであろう1冊でありながら、リファレンスとしては勧めたいと思わない本です。
posted by 作楽 at 00:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 洋書(Age:9-12) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月09日

「Inside the Crime Lab」

20070509[InsideTheCrimeLab].jpg

Lorraine Jean Hopping 著
Scholastic 出版

 自分が専門とする分野の英語本なら、難なく読めるのに、好きなはずのミステリの場合「あれ?どこでそれが出てきたんだっけ?」などと、話についていけていないことが時々露見する私。

 やはり、一番大きいのは語彙の問題ではないかと、ミステリで出てきそうな単語を噛み砕いて説明してくれているこの本を手にとってみました。

 状況証拠、動機、法医学のような基本的な単語が説明されています。

 ただ、50ページ強というボリュームでは説明できることは本当に限られています。

 ミステリやサスペンスに関して、まだまだ語彙というほどの蓄えがない方には向いていますが、ある程度読んでいる方には物足りない内容でしょう。また、スラングのようなものは一切ありません。日本語でいうガイシャとかホシとかを期待していた私としては、ちょっぴりがっかりですが、それでも言われてみればわかるけど、自分からはアウトプットできない単語もかなり混じっていて、一読の価値はありました。

 もう少し一般的な、つまり学校教育的でない、ミステリに頻出するようなスラングが出ているような本が見つけられれば、と思います。
posted by 作楽 at 01:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 洋書(Age:9-12) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする