
Jennifer Allison 著
Puffin 出版
ある学生さんが、辞書にあるタイプライターという言葉を見て、シナリオライターやコピーライターのように職業を指す言葉だと思ったと聞いたことがあります。生まれたときからパソコンがあった世代にとってタイプライターとはそんなものかと驚きました。
この本の主人公である13歳の少女は、そんなタイプライターをその重さにもめげずスーツケースに詰め、ミシガンからサンフランシスコまで出かけて行きます。
サンフランシスコには同じ年頃の女の子がいる遠い親戚が住んでいて、そこで夏休みを過ごすことになったのです。自称霊媒師の主人公は、その裕福な親戚の屋敷で、幽霊騒ぎを解決しようと奮闘します。
なにしろ13歳なので、探偵気分に浸りはするものの特にそれらしい結果を出せるわけがありません。突拍子もないことを言って大人を苦笑させたりします。それでも、同じ年代の女の子の悩みを同じ年頃の目線で解決するので、ほのぼのと読めます。件のタイプライターは、結末でなかなか粋な活躍をします。主人公にとっては、亡くなった父親と自分をつなぐ大切なタイプライターが、亡くなった者と生ける者とのつながりを果たします。
中盤までの展開がゆっくりなので退屈ですが、それ以降は一気に読めました。