2008年11月07日

英国王室

 上智大学で受講している、「クィーンズイングリッシュで学ぶ現代英国事情」シリーズ。3回めの授業は王室。

 王室の始まりは、1066年のKing William Iです。そして、1649年〜1660年に空白期間(Commonwealth of Englandと呼ばれています)があるものの、現代のQueen Elizabeth IIまで続いています。

 その現在の女王であるQueen Elizabethの正式名称を聞いて、目がまわりそうになりました。

 Elizabeth II by the Grace of God of the United Kingdom of Great Britain and Northern Island and of the other realms and territories Queen, Head of Commonwealth, Defendere of the Faithだそうです。

 しかし、その女王は意外にも大きな権力をお持ちで、驚きました。歴史や政治に疎いわたしは、立憲君主政体の女王というのは天皇陛下のようなものだと思っていました。でも、二大政党が同数の議席をとったら、女王が首相を選ぶそうです。現実でそのようなことは起こったことがないそうですが、ケアリー先生の好きなジェフリー・アーチャーの小説では、そのような事態が起こったそうです。

 ほかにも、女王は首相に意見を言うことができる、という権限にも驚きました。もちろん、意見なので、首相には首相の決断があって当然なのですが、毎週内謁(Private Audience)がもうけられるそうです。女王にとっては、左翼首相との会談はよくても、首相が右翼だと大変だろうな、などと余計なことを考えてしまいます。

 最後は、女王の住まいについて。

 (1)Buckingham Palace
 (2)Winsor Castle
 (3)Balmoral Castle

 (1)は、平日の公務に、(2)は週末の休養に、(3)は8月〜9月の夏季休暇に利用されているそうです。(1)の近衛兵の交代儀式を見に行ったことを思い出しました。そして、私有としては、Sandrugham Houseがあり、クリスマス休暇を過ごされるそうです。

 お城に住まわれて華やかかもしれませんが、やはり公務は大変なんだろうな、などと陳腐な想像をしてしまいました。
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2008年10月22日

連合王国イギリス

 上智大学で受講している、「クィーンズイングリッシュで学ぶ現代英国事情」シリーズ。2回めの授業からは、パトリック・ケアリー先生が担当してくださいます。英国出身のケアリー先生は、ユーモア豊かな先生です。

 連合王国イギリスというタイトルがつけられた授業は、英国の諸々を広く浅く紹介してくださるというもの。その中のひとつが国旗の成り立ち。タイトルに「連合王国」とあるとおり、国が融合されるたび、国旗も足し算されていったというものです。こんなイメージです。

20081022HistoryUnion.gif

 16世紀にウェールズをあわせてイングランドになったあと、そのイングランドにスコットランドが加わり、さらにアイルランドが加わり、結局はアイルランドは北部だけが連合国残されることになりました。それにともない国名も以下のように変遷したのですが、国旗もそれをあらわしているということです。

 1707年 Kingdom of England + Kingdom + Scotland
     -> United Kingdom of Great Britain
 1801年 United Kingdom of Great Britain + Kingdom of Ireland
     -> United Kingdom of Great Britain and Ireland
 1922年 United Kingdome of Great Britain and Ireland - Irish Free State
     -> United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland

 お茶目なケアリー先生は、百貨店などで「英国フェア」などが開催されると出かけて行って、グレート・ブリテンの国旗が正しく配置されているか、チェックすると笑っていらっしゃいました。言われるまで気づかなかったのですが、バツ印のように見える白地に赤のうち、白地の部分は、赤によって太い部分と細い部分に分けられています。この太い部分が左上にくるのが正しい掲げ方だそうです。

 ジェフリー・アーチャーの小説の中では、英国大使館員に扮するKGBが、小さな国旗英国国旗を間違って車に取り付けたことから、偽者とばれてしまう、というエピソードがあるそうです。

 スポーツなどで見慣れているつもりの国旗、意外と知らないことがあるものです。

 あと、連合国のなかではあまり馴染みのないスコットランドにまつわる豆知識をふたつ。

 ひとつめはスコッチ・ウィスキーと呼ばれるスコットランドのウィスキー。綴りは、whisky。それ以外のウィスキーの綴りは、whiskeyとeが入るそう。

 ふたつめはスコットランドの一般的な姓は、有名なMcDonald。ハンバーガー・チェーン店になっています。もうひとつが、Macintosh。コンピュータの世界で有名です。

 英国に関係する豆知識が増えた楽しい講義でした。
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2008年10月16日

世界の英語とクィーンズイングリッシュ

 東京に住んでいて恵まれていると思うのは、学びの場が多いこと。

 こういう機会をぜひ活用したいと、2008年下期は上智大学コミュニティ・カレッジで英国事情を教えていただくことにしました。コース名は、「クィーンズイングリッシュで学ぶ現代英国事情」

 コンピュータ・ソフトの仕事をしていた関係で、時代の先をいくアメリカばかりに注意を向けてきたように思います。でも、英語をそれだけに活用するのも惜しい気もしてきて、アメリカ以外の国のことも知りたいと思ったのがきっかけです。

 第1回の授業は、「世界の英語とクィーンズイングリッシュ」。この回だけ、日本人の池田准教授の授業です。池田先生は、サバティカルで、2008年9月までの約1年間、ロンドンにいらしたそうです。

 話しは逸れますが、このサバティカル、わたしが聞いた範囲では、上智大学の条件が一番よく聞こえました。6年教鞭をとると、1年間授業を休み研究できるそうです。7年経過後の1年間、という条件や、まれに7年経過後の半年という条件も聞くことを考えると、恵まれているように思えました。(クラスの担当状況などによっては、過大な負荷がかかった6年かもしれませんが。)

 話しをもとに戻すと、第1回の授業は、言語学を研究なさっている池田先生から、英国における方言のバリエーションのレクチャーでした。

 でも、それと同等にわたしの興味をひいたのは、授業の導入に使われた“Life in the U.K.”試験の模擬問題。この“Life in the U.K.”試験は、英国ビザや市民権取得の条件になっているそうです。選択問題24問中17問正解で合格です。わたしは無残にも9問しか正解できませんでした。難しいです。模擬問題で練習しておかないと、合格できそうにありません。(模擬問題は、書店のレジ横など、目立つ場所で売られているそうです。)

 以下が授業中に配られた問題の一部です。

−スコットランド北部のJohn o'Groat'sからイギリス南西端までの距離は?(正解は、約870マイル。)
−1960年代おわりから1970年代はじめまでの間に、28000人ものインド出身者移民を英国が受け入れた理由は?(正解は、ウガンダを追われた人たちだから。)
−ユーロをUKの貨幣として政府が採択するのは、いつ?(正解は、国民投票で決まったとき。)

 恥ずかしながら、日本に関する同等の試験があっても、わたしは合格できそうにないレベルです。当然、英国版のテスト結果も悲惨で、最初の授業から、ガックリと肩が落ちてしまいました。(別に英国移住を狙って、この授業を受けようと思ったわけではないのですが、拒絶されたような気分で、寂しくなりました。)

 最後に、本題の英国方言事情。

 "方言"ということばは不適切かもしれません。なんとなく、日本で方言というと地域だけに依存しているように聞こえるからです。英国の場合、以下の図のように、階級によって、方言のバリエーションに幅があるそうです。つまり、労働者階級の場合、地域差が大きく、上流階級の場合は、地域に関係なく、ひとつの発音(RP)になるというものです。

20081016EnglishPyramid.jpg

 池田先生が用意してくださった教材で、実際に各方言を聞いてみました。なかには、「これ、英語?」と思ってしまうものもありました。関西出身のわたしが、沖縄のことばを理解できないのと同じようなことかもしれませんが、正直驚きました。

 学生時代、英国の階級社会について習ったことを思い出しました。わたしから見て、納得しづらかったのは、英国の階級社会に対する肯定的意見でした。階級があれば、上を目指すもの、と考えていたわたしから見て、英国の労働者階級が労働者階級を肯定的に捉えている点(上の階級にいけば幸せになれるとは考えていない。一生工場で働くのが幸せな人間が大勢いるという考え。)は、本心からそう思っているのか疑っていました。

 でも、未だに日本のように国民総中流のような流れになっていないことを考えると、やはり、階級社会を肯定的に考えているような気がしてきました。

 もちろん、例外はあります。あの有名なサッチャー元首相は、上記の図でいうと、Middle Classの下あたりの出身になるそうです。それでもオックスフォード大学に入学し、発音を矯正したという話です。

 しかし、それだけ固定的な方言があるのであれば、“Life in the U.K.”試験に合格しても、中産階級のエリアに住むことができなければ、ことばを理解できないということになります。

 とらぬ狸のなんとかですが。
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2008年09月10日

ちびくろサンボの意味するところ

日本と世界の諸地域シリーズ〜アメリカ〜」の第六回講座は、東京外国語大学教授、佐々木孝弘先生による「アメリカにおける黒人の表象−サンボ・イメージのもつ意味をめぐって」でした。

 このシリーズ、どの回も興味深い話題でしたが、最後のこの回がわたしにとって一番インパクトのあるものでした。なぜなら、子どもの頃に親しんだ絵本、「ちびくろサンボ」のその後を知ったからです。

 「ちびくろサンボ」に登場するトラがぐるぐると廻ってバターになるあたり、ありえない話だろうと思っていても、そうなったらいいな、と真剣に願っていました。そんな楽しい絵本をわたしが手にしなくなったあと、各社で絶版という扱いになってしまったことなど、知りませんでした。

 絶版のきっかけは、1988年7月22日Washington Postに掲載された、日本のデパートで人気のあったサンボとハンナというキャラクター人形に関わる記事でした。このキャラクターのことは、知りませんでしたが、佐々木先生が撮影されたサンボとハンナがプリントされたペンの画像を見るかぎり、かわいいという印象を持っても、差別的というイメージは湧いてきませんでした。たしかに、まんまる目にぽってり唇は、昔馴染んだサンボの絵を思い出させるものでしたが。

 なぜ、その可愛い無邪気な顔が差別と結びついたのか、佐々木先生の説明がなければ、わたしには理解できなかったと思います。

 もともと、「ちびくろサンボ」は、インドに滞在経験のあるヘレン・バナマンという女性が、インドの子どもを主人公にして描いた作品だそうです。それが、異なる画家による挿絵で米国で出版された際、登場人物の子どもがインド人から黒人に代わったようです。代表的な挿絵は、フランク・ドビアス氏によるもので、日本で出版された「ちびくろサンボ」は、この米国版をもとにしているそうです。

 このときの米国人によるサンボの描かれ方は、白人が期待する黒人のイメージだというのです。幼く、無邪気な、子どものような黒人。

 長い奴隷時代、農園は黒人の労働に支えられていました。つまり、白人の富は、黒人奴隷によって築かれたといっても過言ではありません。その後ろめたさから、「黒人は農園で働くことができて幸せなのだ」と白人は思いたかったのです。都合のいい話ではありますが、白人が黒人を一方的に利用していると考えるより、白人と黒人は助け合いお互い幸せに暮らしていると思うほうが、ひととして良心が痛まないというのは、よくわかります。

 その象徴として、奴隷制度時代、黒人が愉快に踊り歌うさまを描いた絵画がよく売れたそうです。佐々木先生が見せてくださった絵画のなかには、黒人と白人が交じり合って、余暇を楽しく過ごす絵までありました。

 そういう白人の都合のいい見方は、絵画にとどまりません。本の中にも同じようなものがあります。

 それらの描写がすべて嘘だというわけではありません。特に、1831年のNat Turnerの反乱のあと、白人の子どもたちを黒人の子どもたちと遊ばせるようになり、黒人の子どもにとって一番近しい存在が子どもの頃に一緒に遊んだ白人の子どもということは、よくあったそうです。そういう思い出を持つ黒人にとって、白人の農園主たちと過ごした時間に苦痛しかなかったとはいえないと思います。

 でも、農園に縛られていて自由のない現実の中での楽しみであり、自由の身であれば、もっと広い世界があったことでしょう。そう考えると、白人のイメージを一方的におしつけられる側としては、反感を覚えるのは、理解できます。幼く、無邪気な、子どものような黒人。そういう都合のいいイメージの表象としてちびくろサンボがあるのであれば、出版を差し控えることも仕方がなかったのかもしれません。

 ただ、今の日本の子どもたちがあの楽しい物語をもう読んではいないのだと思うと、寂しい気がします。
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2008年08月26日

アメリカ大統領選をどう読むか

日本と世界の諸地域シリーズ〜アメリカ〜」の第五回講座は、共同通信編集委員の会田弘継氏による「アメリカ大統領選をどう読むか」でした。

 個人的には、政党も政策も何も関係なく、ヒラリー・クリントン女史に史上初の女性大統領になってもらいたかったのですが、残念ながらその可能性がなくなったため、なんとなく前ほど大統領選ニュースに興味を持てなくなっていました。しかし、会田氏のお話を聞くと、また選挙戦の行方が気になってしまいました。(会田氏は、何の根拠もなくヒラリーが大統領になればいいと支持している女性が圧倒的に多いと話されていましたが、その中のひとりがわたしです。)

 まず、今年の大統領選は、史上初あるいは久しぶりのできごとが多いとのことでした。まず、初の女性大統領は消えてしまいましたが、黒人初の大統領の可能性があります。逆に、マケイン氏がなれば、最長老大統領(72歳)だそうです。二期目のレーガン大統領が73歳だったという例外はありますが、それでも、高齢化社会において現役時代が長くなっているといえると思います。次に、1976年以来はじめて、オバマ氏が公的支援金(8400万ドル)を受け取らないと表明したそうです。しかも、オバマ氏が募った選挙資金は、広く国民から集められているのが特徴だそうです。200ドル以下の小口献金が百数十万口も。つまり、普通の人々が、外食を1回我慢して代わりにオバマ氏に献金しようといったことをしているわけです。その支持の広さに驚きました。また、その手段にも時代を感じます。小口献金は、Webサイトからクレジットカードといった形が多いそうです。まさにインターネット時代を感じさせます。(Webサイトといえば、選挙情報を集めるのに一番便利なのは、現時点ではReal Clear Politicsというサイトだそうです。)

 次にわたしが興味を持てたのは、意外にも政党史。アメリカの歴史の短さを考えると、共和党×民主党という今の体制は本当に長いのです。

1989-1816 フェデラリスト党 対 リパブリカン党
               ハミルトン × ジェファソン
1830-1856 ホイッグ党 対 民主党
               反ジャクソン × ジャックソン
1856-       共和党 対 民主党
               工業化・反奴隷 × 農業・奴隷

 この長期間において、共和党と民主党の勢力関係は次々と変化しています。基本的には北部に共和党、南部に民主党ですが、工業が南部に移ってきていることもあり、現代では南部に共和党員が増えてきているそうです。年代を追って、地図(共和党は赤、民主党は青というお決まりの色分けで表わされるもの)を見せていただくと、たしかにすべてが共和党というニクソン時代を経て、南北が交じり合ってきた感じはしました。

 やはり、わたしのイメージするアメリカには変化が似合っている気がします。だとするとやぱり、大統領選は、"Change"のオバマ氏なのでしょうか。
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