
宮崎 伸治 著
フォレスト出版 出版
この著者が執筆した本を読むことは、もうないだろうと思いました。この本を書くことによって、出版業界で経験した辛い過去に対し溜飲をさげたい著者とそれに同調する読者という構図のもと、出版業界で働く個人事業主あたりが読者として想定されていたのかもしれません。わたしは、その想定読者からは遠い立場にいるので、得るものが何もなかったのでしょう。
いわゆる下請法が整備されてきたことからもわかるように、企業規模が大きく圧倒的に優位な立場にある発注者に対し、零細企業や個人事業主などの受注者は、高いリスクを背負うことが予期されます。ゆえに、個人事業主などは、リスクを正しく評価し、可能な範囲でリスクをヘッジしつつ臨むことが必要になります。それを怠って被害に遭い、自分は世のために正義を貫いているという考えのもと、ユーモアの欠片もなく、相手が 100% 悪いという怒りを書きつらねても、それなりにリスクヘッジを心がけてきた人たちには響かないのは仕方のないことだと思います。
もちろん、被害に遭われたことはお気の毒かと思いますが、出版業界に限った話でもありませんし、どう伝えるかについて、もう少し検討されても良かったのではないかと思いました。