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<title>マイペース魔女の読書日記</title>
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<description>楽天家ひとりんぼのつぶやき</description>
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<title>「無機的な恋人たち」</title>
<description>濱野　ちひろ 著講談社 出版　著者は、自らの初恋の相手はブラック・ジャックだったと冒頭で述べています。有名な手塚治虫作品の主人公に恋した経験のある著者は、 2016 年から人間と人間ではないものたちの恋愛事情を調査しています。この本では、等身大人形と人間の性愛を中心に考察がなされています。　著者は、人間性愛規範、つまり『人間は普通、自然に他の人間と恋愛関係や性的関係に至るという信念』から距離を取り、もっと広い視野で恋愛やセックスを見渡してみたいと書いています。これを読んで、わ..</description>
<dc:subject>和書(その他)</dc:subject>
<dc:creator>作楽</dc:creator>
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<a href="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260906E3808CE784A1E6A99FE79A84E381AAE6818BE4BABAE3819FE381A1E3808D.png" target="_blank"><img border="0" alt="20260906「無機的な恋人たち」.png" src="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260906E3808CE784A1E6A99FE79A84E381AAE6818BE4BABAE3819FE381A1E3808D-thumbnail2.png" width="146" height="200"></a><br /><br />濱野　ちひろ 著<br />講談社 出版<br /><br />　著者は、自らの初恋の相手はブラック・ジャックだったと冒頭で述べています。有名な手塚治虫作品の主人公に恋した経験のある著者は、 2016 年から人間と人間ではないものたちの恋愛事情を調査しています。この本では、等身大人形と人間の性愛を中心に考察がなされています。<br /><br />　著者は、人間性愛規範、つまり『人間は普通、自然に他の人間と恋愛関係や性的関係に至るという信念』から距離を取り、もっと広い視野で恋愛やセックスを見渡してみたいと書いています。これを読んで、わたしは、この人間性愛規範に囚われてきたひとりだと気づきました。<br /><br />　ラブドールと暮らし、自らをラブドールの夫と名乗る男性を皮切りに、さまざまなタイプの方々が調査対象として登場します。わたしにとって、夫 (配偶者) やパートナーという存在は、別々に家庭に築いている兄弟姉妹よりも近しく、たとえば事故に遭ったときなど真っ先に連絡を受ける人、あるいは法定相続人になる人、そういったイメージで考えていたので、ラブドールのパートナーや夫だと自認する人がいるとは想像したことがありませんでした。<br /><br />　著者も、『パートナーとは、いったいどんな存在なのだろうか。等身大人形に恋し、ともに暮らす人々への調査を始めて以来、私はこの根本的かつ難しい問題に悩まされ続けている』と、書いています。等身大人形と暮らしている人たちそれぞれの価値観を読むと、わたしも迷路に入り込んだような感覚を覚えました。<br /><br />　ある人は、妻の裏切りを機に離婚を経験しました。彼にとって、ラブドールは、裏切ることも、嘘をつくことも、突然どこかに行ったりすることもないパートナーなのです。なかには、ラブドールのパーソナリティを構築する人も登場します。生年月日や家族構成だけでなく、『性格設定、詳細な背景、数々のエピソード』などをつくりあげるのです。<br /><br />　そこまでの関心を寄せるのであれば、それはもう愛かもしれません。著者のなかでは、愛がなにかという問いに対する答えが芽生え始めているそうです。『愛するとは、自分ではない存在と共在すること。そして、その存在の様子を日々、くまなく観察すること。観察を続けることによって、私たちはその相手を知ることができる』と、著者は書いています。この定義だと、人形を愛することはできそうですが、人形と愛し合うことはできそうにありません。<br /><br />　さらに、著者は、ラブドールの夫が与えたパーソナリティをもつラブドールは本当に夫にとって他者か、つまり夫は他者としてラブドールを愛しているのか、あるいはパーソナリティを与えた夫とラブドールはほぼ同一の存在で、ラブドールへの愛を自己愛と見ることもできると書いています。<br /><br />　人間性愛規範から距離を取ると、さまざまな定義が揺らぎます。同時に、わたしたちは理解できていないことを理解した気になっていただけかもしれないと、わたしには思えました。<a name="more"></a>

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<title>「金融化する世界　資本主義の構造変化と現代企業行動の本質」</title>
<description>小倉　将志郎 著日経 BP/日本経済新聞出版 出版　タイトルにある『金融化』を著者は、『資本主義の下で、広義の金融が、経済・社会に対して直接・間接に有する影響・役割が、徐々に高まっていくプロセス』だと説明しています。ただ、タイトルの『世界』に、日本は含まれていません。おもに米国を指しているようです。　著者は、いかに広範囲にわたって金融化が進んでいるかを表にまとめています。政府の金融化については、これまで考えたことはありませんでしたが、金融工学の発展など、金融の深化では目を瞠る..</description>
<dc:subject>和書(経済・金融・会計)</dc:subject>
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<a href="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260905E3808CE98791E89E8DE58C96E38199E3828BE4B896E7958CE3808D.jpg" target="_blank"><img border="0" alt="20260905「金融化する世界」.jpg" src="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260905E3808CE98791E89E8DE58C96E38199E3828BE4B896E7958CE3808D-thumbnail2.jpg" width="140" height="200"></a><br /><br />小倉　将志郎 著<br />日経 BP/日本経済新聞出版 出版<br /><br />　タイトルにある『金融化』を著者は、『資本主義の下で、広義の金融が、経済・社会に対して直接・間接に有する影響・役割が、徐々に高まっていくプロセス』だと説明しています。ただ、タイトルの『世界』に、日本は含まれていません。おもに米国を指しているようです。<br /><br />　著者は、いかに広範囲にわたって金融化が進んでいるかを表にまとめています。政府の金融化については、これまで考えたことはありませんでしたが、金融工学の発展など、金融の深化では目を瞠る変化がありましたし、企業の金融化についても実感があります。<br /><br /><div style="text-align: center;"><a href="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260905E3808CE98791E89E8DE58C96E38199E3828BE4B896E7958CE3808DE98791E89E8DE58C96E382A2E38397E383ADE383BCE38381E381AEE5AFBEE8B1A1.png" target="_blank"><img border="0" alt="20260905「金融化する世界」金融化アプローチの対象.png" src="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260905E3808CE98791E89E8DE58C96E38199E3828BE4B896E7958CE3808DE98791E89E8DE58C96E382A2E38397E383ADE383BCE38381E381AEE5AFBEE8B1A1-thumbnail2.png" width="200" height="185"></a></div><br /><br />　たとえば、FRB 統計をもとに著者が作成した以下のグラフを見れば、米国の金融部門の伸びは、一目瞭然です。日本語でいうリーマンショックの前後を除いて、税引前純利益は右肩あがりで伸びています。全産業に占める割合は、ピーク時には 30% を超えていました。<br /><br /><div style="text-align: center;"><a href="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260905E3808CE98791E89E8DE58C96E38199E3828BE4B896E7958CE3808DE98791E89E8DE983A8E99680E381AEE588A9E79B8AE381A8E585A8E794A3E6A5ADE381ABE58DA0E38281E3828BE382B7E382A7E382A2.png" target="_blank"><img border="0" alt="20260905「金融化する世界」金融部門の利益と全産業に占めるシェア.png" src="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260905E3808CE98791E89E8DE58C96E38199E3828BE4B896E7958CE3808DE98791E89E8DE983A8E99680E381AEE588A9E79B8AE381A8E585A8E794A3E6A5ADE381ABE58DA0E38281E3828BE382B7E382A7E382A2-thumbnail2.png" width="200" height="93"></a></div><br /><br />　著者は、企業が『利潤追求において、財・サービスの生産というコストと時間のかかるプロセスをスキップし、広義の金融的経路を通じて、金融市場の原理に突き動かされて、利潤追求を行おう』としてきたと指摘しています。たとえば、製造業が製造ラインの建設などに投資して収益を拡大するのではなく、金融部門を通じて収益をあげる方向に進んできたということでしょう。ほんの一例ですが、リーマンショック前の 2006 年時点で、主要企業の総収益に占める金融部門の貢献度は、GE で 33.3%、フォードでは 10.5%、GM で 16.5% だったそうです。<br /><br />　しかし、これだけ金融化が進んだ背景には、以下のように権力の中心に大手金融機関が鎮座していられるよう、結果的に政府が協力したことが影響していると見られます。たとえば、TBTF 政策 (経済への影響が大きすぎる企業の破綻を政府が防ぐ政策) のおかげで、大手金融機関は、税金の投入を想定し、高リスクの商品を扱ってきたのではないかという憶測が飛び交ったこともありました。<br /><br /><div style="text-align: center;"><a href="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260905E3808CE98791E89E8DE58C96E38199E3828BE4B896E7958CE3808DE98791E89E8DE58C96E381AEE6A8A9E58A9BE381AEE3838DE382AFE382B5E382B9.png" target="_blank"><img border="0" alt="20260905「金融化する世界」金融化の権力のネクサス.png" src="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260905E3808CE98791E89E8DE58C96E38199E3828BE4B896E7958CE3808DE98791E89E8DE58C96E381AEE6A8A9E58A9BE381AEE3838DE382AFE382B5E382B9-thumbnail2.png" width="200" height="113"></a></div><br /><br />　この本の最後には、この金融化の流れが縮小することはなく、ある程度制御されて金融化が進むか、極端に金融化が進むか、どちらかだろうと、著者の考えがまとめられています。そんな流れのなか、日本が得られる利益は、相対的に減少していくことになるのでしょう。そのいっぽうで、米国と同様に、リーマンショックのような金融危機の影響を受けることは経験済みです。辛い現実を突きつけられた気分です。<a name="more"></a>

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<title>「彼の左手は蛇」</title>
<description>中村　文則 著河出書房新社 出版「掏摸 (スリ)」という作品で『ウォール・ストリート・ジャーナル』の年間ベスト 10 小説に選ばれた作家が自ら『僕らしい』作品だと評しているのが、この「彼の左手は蛇」です。　自身の左手は蛇だと思っている男が殺人を計画し、人生が台無しになって終わる前に書いておこうと残した手記と、犯行の後日談で構成されている作品です。論理的だと感じられるくだりもありますが、妄想も多分に含まれているだろう手記からは、彼の追いつめられようが伝わってきます。　ひとは、理..</description>
<dc:subject>和書(日本の小説)</dc:subject>
<dc:creator>作楽</dc:creator>
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<a href="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260808E3808CE5BDBCE381AEE5B7A6E6898BE381AFE89B87E3808D.png" target="_blank"><img border="0" alt="20260808「彼の左手は蛇」.png" src="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260808E3808CE5BDBCE381AEE5B7A6E6898BE381AFE89B87E3808D-thumbnail2.png" width="141" height="200"></a><br /><br />中村　文則 著<br />河出書房新社 出版<br /><br />「掏摸 (スリ)」という作品で『ウォール・ストリート・ジャーナル』の年間ベスト 10 小説に選ばれた作家が自ら『僕らしい』作品だと評しているのが、この「彼の左手は蛇」です。<br /><br />　自身の左手は蛇だと思っている男が殺人を計画し、人生が台無しになって終わる前に書いておこうと残した手記と、犯行の後日談で構成されている作品です。論理的だと感じられるくだりもありますが、妄想も多分に含まれているだろう手記からは、彼の追いつめられようが伝わってきます。<br /><br />　ひとは、理不尽な目に遭って追いつめられると、こうなってもおかしくないと、妙なリアリティが感じられました。ただ、そういう状況に陥ったひとは、視野が狭くなっていて、これしか方法がないと思いこんでいるだけかもしれないと、小説の外から冷めた目で見てしまい、架空の世界にどっぷりと浸かって疑似的な体験をするといった感覚にはなれませんでした。<br /><br />　手記には、そのとおりだと思える部分も随所に見られるのですが、それを言い出したら人生は辛すぎると思うようなこともありました。あとがきで著者は、『この本が、何かの困難を抱えた人達の御守りにーーもちろんそういった人達が望めばですけれどもーーなってくれたらと、作者としては勝手に願っている』と書いています。<br /><br />　わたしとしては、小説の最後に書かれてある、『抑圧者が現れ、抵抗が無理なら逃げろ』の部分以外、あまり共感できませんでした。逃げるというシンプルな答えに辿りつくまで、妄想を膨らませ続けた男の手記は、残念ながらわたしには響きませんでした。でも、最後まで読んで、犯行後の男を見ることができてよかったです。<a name="more"></a>

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<title>「ファイナル・スコア」</title>
<description>ドン・ウィンズロウ (Don Winslow) 著田口　俊樹 訳河出書房新社 出版　以下が収められています。- ファイナル・スコア- サンデー・リスト- 北棟 (ノース・ウイング)- ほんとの話 (トウルー・ストーリー)- ランチブレイク- 衝突　この作家の短編集を読んで一層、どんな作品でもこなしてしまう作家なのだと思いました。それは、序文にも書かれてありました。『小説の舞台をどこに設定しようと、どんな人物を登場させようと、ドンの文体はそこにぴたりとはまる。場所がどこであれ、..</description>
<dc:subject>和書(海外の小説・ドン・ウィンズロウ)</dc:subject>
<dc:creator>作楽</dc:creator>
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<title>「エージェントは二度推理する」</title>
<description>ハーラン・コーベン (Harlan Coben) 著田口　俊樹 訳小学館 出版　1995 年から始まったシリーズ作品の最新作です。巻末の解説によると、『看板シリーズの最新作だ。本国では 2024 年に刊行され』ていますが、『邦訳は第 7 作の「ウイニング・ラン」 (2000 年) で止まっており、間の 4 作が抜けている』そうです。わたしは、1990 年代はあまりミステリーを読んでいなかったので、シリーズ作品だと知らずに読み始めましたが、主人公の過去が適宜紹介されているので、..</description>
<dc:subject>和書(海外の小説)</dc:subject>
<dc:creator>作楽</dc:creator>
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<a href="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260713E3808CE382A8E383BCE382B8E382A7E383B3E38388E381AFE4BA8CE5BAA6E68EA8E79086E38199E3828BE3808D.png" target="_blank"><img border="0" alt="20260713「エージェントは二度推理する」.png" src="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260713E3808CE382A8E383BCE382B8E382A7E383B3E38388E381AFE4BA8CE5BAA6E68EA8E79086E38199E3828BE3808D-thumbnail2.png" width="144" height="200"></a><br /><br />ハーラン・コーベン (Harlan Coben) 著<br />田口　俊樹 訳<br />小学館 出版<br /><br />　1995 年から始まったシリーズ作品の最新作です。巻末の解説によると、『看板シリーズの最新作だ。本国では 2024 年に刊行され』ていますが、『邦訳は第 7 作の「ウイニング・ラン」 (2000 年) で止まっており、間の 4 作が抜けている』そうです。わたしは、1990 年代はあまりミステリーを読んでいなかったので、シリーズ作品だと知らずに読み始めましたが、主人公の過去が適宜紹介されているので、支障なく読み進められました。それでも、主人公のマイロン・ポライターとその相棒ウィンザー (ウィン) ・ホーン・ロックウッド三世が若かったころ、ふたりを FBI の仕事に引きいれた PT という人物が登場したときは、その事件を知りたくなりました。<br /><br />　さらに、タイトルにある『二度推理する』場面が思った以上におもしろくて、このシリーズをもう少し読んでみたいという気になりました。ただ、1995 年だと、AI どころか、スマホもなかった時代なので、いろんな場面がもどかしく感じられるかもしれず、迷います。<br /><br />　フーダニット作品でもある本作には、犯人を追うマイロンと彼を手助けするウィンとは別の立場で語る短い章が複数回挿入されています。おもに犯罪を犯す場面で、犯罪の手口を知ることができるだけでなく、主人公よりも先に犯人の心理をある程度見られる構成になっています。不思議だったのは、その人称が二人称になっていた点です。最後の最後の謎解きでその理由が、それまでの人物描写と相まって腑に落ちました。<br /><br />　作品構成や犯人像が巧妙に作りあげられていて、小さな違和感、たとえば、FBI に寄せられた匿名の情報の目的はなにか、二度名前のあがる関係者がひとりだけだけいるのはなぜか、犯人側の視点で『前回、綿密な計画をたてたのにミスを犯した』と語られたミスとはなにか、といったことがすべて明かされる最後を読んだとき、多くの点が漏れなくつながった感覚を味わえました。<br /><br />　登場人物のキャラクター造形も巧みで、主人公と重層的に対立する関係性のなか、犯人が選んだ最後の選択にも納得できました。ただ、シリーズを第 1 作から読んでいたら、違った印象をもったかもしれません。シリーズを通して登場してきた人物の最新を知ったうえで、過去作を読んでみるのもおもしろいかもしれません。<a name="more"></a>

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<title>「歩く　マジで人生が変わる習慣」</title>
<description>池田　光史 著NewsPicks パブリッシング 出版　さまざまな角度から歩くことを考察した本です。健康に与える影響に注目して歩くという運動を取りあげた本とは一味違いました。まず、歩くことによって創造性が高まるといった研究結果が紹介されています。坐っている状態と歩いている状態を比較した場合、数学のように正解を求める問題に向き合うには前者が良く、アイデアを捻りだすには後者が良いという結果が出ています。被験者数が 176 人と比較的多く、実施したのが米スタンフォード大学なので、相..</description>
<dc:subject>和書(その他)</dc:subject>
<dc:creator>作楽</dc:creator>
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<a href="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260712E3808CE6ADA9E3818FE38080E3839EE382B8E381A7E4BABAE7949FE3818CE5A489E3828FE3828BE7BF92E685A3E3808D.png" target="_blank"><img border="0" alt="20260712「歩く　マジで人生が変わる習慣」.png" src="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260712E3808CE6ADA9E3818FE38080E3839EE382B8E381A7E4BABAE7949FE3818CE5A489E3828FE3828BE7BF92E685A3E3808D-thumbnail2.png" width="137" height="200"></a><br /><br />池田　光史 著<br />NewsPicks パブリッシング 出版<br /><br />　さまざまな角度から歩くことを考察した本です。健康に与える影響に注目して歩くという運動を取りあげた本とは一味違いました。まず、歩くことによって創造性が高まるといった研究結果が紹介されています。坐っている状態と歩いている状態を比較した場合、数学のように正解を求める問題に向き合うには前者が良く、アイデアを捻りだすには後者が良いという結果が出ています。被験者数が 176 人と比較的多く、実施したのが米スタンフォード大学なので、相応の説得力のある実験だと思います。<br /><br />　そのほか、日常的に歩くことを可能にする都市開発や歩きやすい街ランキングも紹介されています。米保険会社 Compare the Market が 2024 年に発表した『世界で最も歩きやすい都市ランキング』は、ドイツのミュンヘン、イタリアのミラノ、ポーランドのワルシャワ、フィンランドのヘルシンキ、フランスのパリに続き、東京が 6 位に入っています。7 位以降は、スペインのマドリード、ノルウェーのオスロ、デンマークのコペンハーゲン、オランダのアムステルダムとなっています。東京はトップスリーに充分入ると思っていたので、意外でした。<br /><br />　著者紹介にある経済ジャーナリストという肩書にふさわしいと思ったのは、『歩きやすい都市の賃貸価格は、オフィスや分譲住宅において、実に 35～45% のプレミアムが付いているという』 (2019年の World Economic Forum のレポート) 内容や、現在 15 億台を超える自動車が存在していますが、稼働率は 5% に過ぎず、もしロボタクシーが普及して個人所有の車が減少すれば、駐車場を歩きやすい公園に転換できるといった、イーロン・マスクが描く未来図です。<br /><br />　歩くときに欠かせないウォーキングシューズの章は、某シューズメーカーのマーケティングかと思う部分もありましたが、全体的に広く浅く、歩くことが考察されています。COVID-19 の大流行以降、運動量が減ったという自覚もあり、歩くために、もっと時間を割いてもいいと思えた一冊でした。<a name="more"></a>

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<title>「人間標本」</title>
<description>湊　かなえ 著KADOKAWA 出版『イヤミスの女王』と呼ばれる作家の作品は、ひとつ読めば充分と思っていたのですが、おもしろいと勧められ、また読んでしまいました。そしてまた、嫌な気分に浸る羽目になりました。嫌な気分の一番の理由は、主だった登場人物がみな自らの欲求を満たすために家族や知人を利用していることです。そして、容赦なく第三者を利用しても、誰も自らの欲求を満たすことなく、物語が終わってしまうことも、後味を悪くしているのだと思います。　さらに、真犯人に辿りつくまでのトラップ..</description>
<dc:subject>和書(日本の小説)</dc:subject>
<dc:creator>作楽</dc:creator>
<dc:date>2026-07-11T21:00:00+09:00</dc:date>
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<a href="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260711E3808CE4BABAE99693E6A899E69CACE3808D.png" target="_blank"><img border="0" alt="20260711「人間標本」.png" src="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260711E3808CE4BABAE99693E6A899E69CACE3808D-thumbnail2.png" width="142" height="200"></a><br /><br />湊　かなえ 著<br />KADOKAWA 出版<br /><br />『イヤミスの女王』と呼ばれる作家の作品は、ひとつ読めば充分と思っていたのですが、おもしろいと勧められ、また読んでしまいました。そしてまた、嫌な気分に浸る羽目になりました。嫌な気分の一番の理由は、主だった登場人物がみな自らの欲求を満たすために家族や知人を利用していることです。そして、容赦なく第三者を利用しても、誰も自らの欲求を満たすことなく、物語が終わってしまうことも、後味を悪くしているのだと思います。<br /><br />　さらに、真犯人に辿りつくまでのトラップの多さにも気分が滅入りました。意外な結末が用意されているとわかっていたので、犯人だと最初に名乗りでた人物が犯人だとは思っていませんでした。ただ、その次に真犯人に見えた人物も、その次の人物も、真犯人ではないと判明した時点で、底なし沼に嵌ってしまった気分を味わい、それも嫌な気分になった理由のひとつかもしれません。真犯人が簡単にわからないようになっているのは、登場人物が周囲の誰かを利用しようと画策することに関係していて、周囲を欺くひとたちの多さが、真実を覆い隠しているかたちになっています。<br /><br />　殺すのは誰でもよかった、ひとを殺して死刑になりたかったと自白する通り魔は、ドラマの筋書きなどでよく登場します。そういう状況でわたしは、死にたいのなら、ひとりで自殺すればよかったに……と、考えてしまいます。身勝手な振る舞いを目にして嫌な気分になります。たとえるなら、そんな気分を味わうことになった作品でした。誰もが多少はもっている、自己顕示欲や承認欲求を満たしたいという利己的な面ばかりに目がいくよう作品が構成されているような気がしてなりません。<a name="more"></a>

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<title>「大奥づとめ よろずおつとめ申し候」</title>
<description>永井　紗耶子 著新潮社 出版　以前、『奥奉公出世双六』という双六を見たことがあります。大奥のさまざまな仕事が並び、一番上の段に『上がり』があります。上様のお手がついて男子を産んだ『御部屋様』と実務方のトップ『老女』です。この本では、大奥の実務を担う女たちの出世に対する思いや大奥に出入りする女たちの町なかでの暮らしを中心に物語が展開します。　大奥と出世というのはあまり結びつかなかったのですが、『男は家格よりも上に上ることはできない。されど、女は大奥では、才覚一つで上ることができ..</description>
<dc:subject>和書(日本の小説)</dc:subject>
<dc:creator>作楽</dc:creator>
<dc:date>2026-07-10T20:00:00+09:00</dc:date>
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<a href="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260710E3808CE5A4A7E5A5A5E381A5E381A8E38281E3808D.png" target="_blank"><img border="0" alt="20260710「大奥づとめ」.png" src="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260710E3808CE5A4A7E5A5A5E381A5E381A8E38281E3808D-thumbnail2.png" width="144" height="200"></a><br /><br /><br />永井　紗耶子 著<br />新潮社 出版<br /><br />　以前、『奥奉公出世双六』という双六を見たことがあります。大奥のさまざまな仕事が並び、一番上の段に『上がり』があります。上様のお手がついて男子を産んだ『御部屋様』と実務方のトップ『老女』です。この本では、大奥の実務を担う女たちの出世に対する思いや大奥に出入りする女たちの町なかでの暮らしを中心に物語が展開します。<br /><br />　大奥と出世というのはあまり結びつかなかったのですが、『男は家格よりも上に上ることはできない。されど、女は大奥では、才覚一つで上ることができる』と書かれてあるのを見て、お仕事小説として大奥はうってつけなのだと納得できました。また、大奥に出入りする、商家の女将や師匠といった女たちが登場することにより、大奥の特殊な世界がより一層鮮やかに浮かびあがっています。<br /><br />　短篇連作になっている本作には、次が収められています。<br /><br />- ひのえうまの女<br />- いろなぐさの女<br />- くれなゐの女<br />- つはものの女<br />- ちょぼくれの女<br />- ねこめでる女<br /><br />　どれも大奥が舞台のわりには、足を引っ張りあうような場面はでてきません。出世を目指す女たちが揃っていても、正々堂々としているだけでなく、メンターのような役割を買って出る女も次から次へと登場します。<br /><br />　わたしの場合、舞台が現代の小説なら、白々しく見える場面もなぜか、時代小説だと違和感なく受け入れることができ、それなりにリアリティを感じてしまいます。そのせいか、足掻いている新人を導くような先輩が大勢登場しても、すんなりと読めてしまいました。聞いたこともないような役職や役割が頻出し、想像したこともないようなしきたりが次々と紹介されると、それらの流れについていくのに精一杯で、ファンタジーの世界を受け入れてしまうのと同じ状態になるのかもしれません。<br /><br />　たとえば、「ひのえうまの女」では、御三の間 (おさんのま) から御次への出世を狙っている女に対し、御祐筆の女が助言を与えます。自分に合った役、つまり自らが楽しめる仕事を目指してはどうかと、出世に躍起となっている新人にことばを掛けます。もし長いあいだ仕事をするのなら大切な視点だと、経験者ならだれでも頷ける助言を頼まれもせずに差し出し、祐筆の仕事に興味があるのなら、力になるとまで言います。現実社会ではあまり見かけないことですが、相手を思う助言が好ましく思えました。<br /><br />　わたしが一番気に入った登場人物は、御末としては夕顔と呼ばれ、御三の間に出世してからはお正と呼ばれ、上様の御手付きになることを目指す女です。こういった生き方をできる女性になりたいと心底願わずにはいられない登場人物で、このキャラクターを作りあげただけでも、この作家が好きになりました。機会があれば、またこの作家の作品を読みたいと思います。<a name="more"></a>

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<title>「会話の 0.2 秒を言語学する」</title>
<description>水野　太貴 著新潮社 出版　著者は言語学の専門家ではなく、出版社勤務の編集者だそうです。大学時代に言語学を専攻していたとはいえ、著者の知識のもとは、現在運営中の『ゆる言語学ラジオ』という、ゆるく楽しく言語の話をする配信番組にあるそうです。ちなみに、同チャンネルの YouTube 登録者数は 36 万人超と人気があるようです。その人気には納得できましたし、『編集力』というのは、もっと評価されていいスキルではないかと思いました。なにを取りあげ、どういった視点で語るかが、この本のお..</description>
<dc:subject>和書(日本語/文章)</dc:subject>
<dc:creator>作楽</dc:creator>
<dc:date>2026-06-17T20:00:00+09:00</dc:date>
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<a href="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260617E3808CE4BC9AE8A9B1E381AE200.220E7A792E38292E8A880E8AA9EE5ADA6E38199E3828BE3808D.png" target="_blank"><img border="0" alt="20260617「会話の 0.2 秒を言語学する」.png" src="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260617E3808CE4BC9AE8A9B1E381AE200.220E7A792E38292E8A880E8AA9EE5ADA6E38199E3828BE3808D-thumbnail2.png" width="138" height="200"></a><br /><br />水野　太貴 著<br />新潮社 出版<br /><br />　著者は言語学の専門家ではなく、出版社勤務の編集者だそうです。大学時代に言語学を専攻していたとはいえ、著者の知識のもとは、現在運営中の『ゆる言語学ラジオ』という、ゆるく楽しく言語の話をする配信番組にあるそうです。ちなみに、同チャンネルの YouTube 登録者数は 36 万人超と人気があるようです。その人気には納得できましたし、『編集力』というのは、もっと評価されていいスキルではないかと思いました。なにを取りあげ、どういった視点で語るかが、この本のおもしろさをつくっていると感じたからです。<br /><br />　著者は、『言語学を学ぶと、「自分はこんなに複雑なことを自然と行なっていたのか」と驚くことしきりだ』と、書いています。その驚きがそのまま伝わってきて、人間、もっと細かい単位では、自分の能力を再認識できます。著者は、このプロセスを『自分と出会い直す』と、表現しています。<br /><br />　タイトルにある 0.2 秒というのは、会話の最中、話者が交替 (ターンテイキング) する際にかかっている時間の平均です。そのあいだには、数多くのことが為されていることは想像に難くありません。直前の会話を把握し、自らが話す内容をまとめ、話しだすべきタイミングをはかるといったことです。著者は、その時間の短さに驚くと同時に興味をもち、いろいろ調べあげた結果を読者と共有するためにこの本を書いたそうです。<br /><br />　普段なにげなく実践しているのに、ターンテイキングにかかる時間ががそんなに短いと知って、わたしも驚きました。さらに驚いたのは、世界的に見て、日本語話者の平均値は世界全体の平均値 0.2 秒 (200 ミリ秒) よりさらにぐっと短く、たった 7 ミリ秒だそうです。もっとも長いデンマーク語は 468 ミリ秒で、日本語の 67 倍だそうです。その短さの原因は、『日本語話者は相手の発話が終わるより前にかぶせて話し始める』ことにあるそうです。<br /><br />　さらに、ほかのデータも紹介されています。わたしが印象に残ったのは、ビデオ通話時のターンテイキング平均値です。487 ミリ秒と対面時の倍以上もかかっていました。通信のタイムラグは約 30 ～ 70 ミリ秒なので、明らかにテンポが落ちています。また、『聞き手の沈黙時間を話し手はどうとらえるか』も興味深い結果になっています。『基本的には会話の中で沈黙が 1 秒を超えると話者が違和感を覚え、それを解消しようとするそう』です。たとえば、『はい』や『いいえ』で答えられるような質問に対して答えがなかった場合、質問の仕方を変えたりします。<br /><br />　そして、沈黙の時間と回答内容のあいだにある相関関係も紹介されていました。依頼などをする場合、『質問が終わってから 700 ミリ秒以上経ってから始まる応答は、だいたい肯定的ではない』そうです。不思議なのは、わたしたちがそんな時間の長さを理解していないにもかかわらず、どこかでわかっているように思える調査結果があることです。『依頼から応答までに何秒経過したら、「この人、気乗りしてないんだろうな」と』判断するかを調べたら、境目は 600 ミリ秒だったそうです。これを超えると、本音では依頼を「本当は聞き入れたくないのだろう」と判断する被験者が急増したそうです。<br /><br />　わたしたちは、ことばでコミュニケーションをとっているつもりでも、実際のところ、沈黙もそれ以上に本音を語っているのかもしれません。この本では、そういうった沈黙を埋める『フィラー』、まあ、あのー、そのー、えーっと、といったことばにも触れています。何気なく口にしているフィラーですが、それぞれに使い方の差異があります。『あのー』と『えーと』では、使うべき場面が異なります。ただ、わたしはその違いを説明できませんでした。著者の説明に首肯できたので、正しく使えてはいるようですが、無意識に使い分けてきたようです。ちなみに正解は、『えーと』は『そもそも伝える内容を処理している段階』で使い、『あのー』は『その伝え方を考えている段階』で使うことです。<br /><br />　わたしたちは、こういったターンテイキングを無意識に日々膨大な回数こなしています。著者は、そのことに驚き、その感動がこの本には詰まっていました。同じ内容の本を読むなら、この著者の視点を介して読んでみたいと思える内容でした。<a name="more"></a>

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<title>「うまい酒はどのようにできるのか」</title>
<description>稲垣　栄洋 著SBクリエイティブ 出版　お酒の原料や製造工程に関する知識がなければ、楽しめる読み物です。著者が酒場でお酒を飲みながら語るウンチクに耳を傾けるかのように読めます。ただ、タイトルが少し紛らわしい気がします。おそらく、『酒』というものは『うまい』から、『うまい酒』なのでしょう。『うまい酒』と『まずい酒』では何がどう違うかといったことには踏みこんでいません。　わたしが一番興味をもったのは、製造工程ではなく、イネ科やブドウ科など酒の原料になっている植物の知識です。植物学..</description>
<dc:subject>和書(エッセイ)</dc:subject>
<dc:creator>作楽</dc:creator>
<dc:date>2026-06-16T20:00:00+09:00</dc:date>
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<a href="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260616E3808CE38186E381BEE38184E98592E381AFE381A9E381AEE38288E38186E381ABE381A7E3818DE3828BE381AEE3818BE3808D.png" target="_blank"><img border="0" alt="20260616「うまい酒はどのようにできるのか」.png" src="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260616E3808CE38186E381BEE38184E98592E381AFE381A9E381AEE38288E38186E381ABE381A7E3818DE3828BE381AEE3818BE3808D-thumbnail2.png" width="132" height="200"></a><br /><br />稲垣　栄洋 著<br />SBクリエイティブ 出版<br /><br />　お酒の原料や製造工程に関する知識がなければ、楽しめる読み物です。著者が酒場でお酒を飲みながら語るウンチクに耳を傾けるかのように読めます。ただ、タイトルが少し紛らわしい気がします。おそらく、『酒』というものは『うまい』から、『うまい酒』なのでしょう。『うまい酒』と『まずい酒』では何がどう違うかといったことには踏みこんでいません。<br /><br />　わたしが一番興味をもったのは、製造工程ではなく、イネ科やブドウ科など酒の原料になっている植物の知識です。植物学者である著者がド素人でもわかるように説明しています。目から鱗だと思ったのは、イネ科の突然変異が農耕生活の始まりだったということです。イネ科の種子はもともと、栄養豊富ではあるものの、ほかの植物と同じように、熟すと地面に落ちていました。それが突然変異で、熟しても落ちない株ができ、それを人間は大切に育て、農耕が始まったそうです。それまでは、家畜に栄養価の高いイネ科の植物を食べさせ、その家畜を食べていました。乾燥した草原でも育つイネ科の植物を食べられるようになったことは、人類の歴史上、ひとつの転換点になったに違いありません。<br /><br />　突然変異はそれだけではありません。イネ科のイネは、ジャポニカ種とインディカ種に分けられますが、前者は後者の突然変異で生まれたと考えられているそうです。イネの原産地は中国南部で、そこから北上する過程で寒さに強いジャポニカ種が生まれたと言われています。日本で作られているのはおもにジャポニカ種で、日本酒の原料である酒米も含まれます。ただ、泡盛の原料になっているのは、インディカ種です。<br /><br />　イネ科植物は、『糖』を『デンプン』に変えて、種子に蓄えています。そのデンプンが咀嚼時に唾液中のアミラーゼという酵素の働きで、糖に分解され、効率よくエネルギーとなります。同時に糖は、陶酔感と幸福感をもたらす中毒性物質でもあり、長年わたしたちが栽培を続けてきた、おもな理由のひとつかもしれません。<br /><br />　ブドウ科では、山梨のワインでよく見かける甲州というブドウの話が意外でした。ブドウは、ラブルスカ種 (アメリカ種)、ヴィニフェラ種 (ヨーロッパ種)、ノブドウ (野生種) に分かれます。ワインの原料となるのは、おもにヨーロッパ種で、乾燥した土地に適しているため、日本の気候には馴染みません。いっぽう、アメリカ種はおもに生食用で、日本の気候にあっています。たとえば、デラウェアはアメリカ種です。いまでは、ヨーロッパ種とアメリカ種を交配して、さまざまな品種が作られています。たとえば、シャインマスカット、巨峰やそこから派生したピオーネなどが含まれます。ただ、例外もあって、甲州は、中近東からシルクロードを経由して、奈良時代に日本に伝わったと考えられていて、中国の野生種の DNA も含むヨーロッパ種由来だそうです。シャインマスカットや巨峰のような色味とは異なり、素朴な甘味が魅力的ですが、もともとの種がまったく異なるようです。<br /><br />　これからは、甲州を食べながら、大陸を渡って日本に伝わり、奈良時代から作り続けられてきたブドウだと思いながら、楽しめると思います。知っていると、食事をさらに楽しめるウンチクがいろいろありました。<a name="more"></a>

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<title>「ザイム真理教 ー それは信者 8000 万人の巨大カルト ー」</title>
<description>森永 卓郎 著フォレスト出版 出版　タイトルの『ザイム』は、財務省や彼らが掲げる財政均衡主義という教義を指し、『真理教』は、財務省がカルト集団として機能していることを皮肉っています。財務省に入省したひとは誰しも、漏れなく洗脳されて『日本の財政は破綻状態』だと信じこみ、消費税をどんどん引きあげることが正義だと唱え、その教義を国民にあまねく広めていると、著者は主張しています。その結果、8000 万人もの国民が財務省の教義を信じてしまっているというのが、サブタイトルの内容です。　著..</description>
<dc:subject>和書(経済・金融・会計)</dc:subject>
<dc:creator>作楽</dc:creator>
<dc:date>2026-05-16T20:00:00+09:00</dc:date>
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<a href="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260516E3808CE382B6E382A4E383A0E79C9FE79086E69599E3808D.png" target="_blank"><img border="0" alt="20260516「ザイム真理教」.png" src="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260516E3808CE382B6E382A4E383A0E79C9FE79086E69599E3808D-thumbnail2.png" width="142" height="200"></a><br /><br />森永 卓郎 著<br />フォレスト出版 出版<br /><br />　タイトルの『ザイム』は、財務省や彼らが掲げる財政均衡主義という教義を指し、『真理教』は、財務省がカルト集団として機能していることを皮肉っています。財務省に入省したひとは誰しも、漏れなく洗脳されて『日本の財政は破綻状態』だと信じこみ、消費税をどんどん引きあげることが正義だと唱え、その教義を国民にあまねく広めていると、著者は主張しています。その結果、8000 万人もの国民が財務省の教義を信じてしまっているというのが、サブタイトルの内容です。<br /><br />　著者の主張がすべて正しいとは思いません。ただ、素人の目から見ても、そのとおりだと頷かざるを得ない点が数多くありました。ひとつは、『政府の借金をグロスでみるのではなく、資産を差し引いたネットでみるべき』という意見です。債務超過になりながら、売却可能な資産を維持し続けて、増税するのは不適切に見えます。著者は、都心の一等地にあって、安価な家賃で貸し出されている公務員宿舎などは売却すべきと主張しています。<br /><br />　高い家賃に苦しんでいるから、苦言を呈しているわけではなさそうです。著者によれば、『2021 年末現在で、発行済みの日本国債の 14.7%、175 兆円は海外投資家が保有している』そうで、『世界で最低水準の金利しかつかない日本国債を海外投資家が買うはずがない』とのことです。そもそも、日本国債の金利自体が、財政破綻と結びつくような水準にはないと思います。<br /><br />　もうひとつは、財務省が推進する優遇措置です。たとえば、金融所得課税が富裕層に有利に働いていることは間違いありません。『勤労収入には、そのまま累進課税の所得税がかかるが、株式の売却益や配当から得られる金融所得は、分離課税になっていて、一律 20.315% (所得税及び復興特別所得税 15.315%、住民税 5%) を支払えば、すべての納税が済んでしまう』のです。<br /><br />　いずれにせよ、そんな財務省には歯向かうような国会議員を選んでこなかったのは、わたしたち国民です。富裕層を横目に見ながら、絞りとられるまま税金を納めてきたのも、わたしたちです。官僚がわたしたち日本人を不幸にしていると、カレル・ヴァン ウォルフレンが書いたのは、30 年以上も昔のことでした。この著者が懸命に伝えようとしたことも、おそらく目に見える結果を生まないのでしょう。わたし自身も、どう行動を起こせばいいのか、これまでの長い人生で学んでこなかった気がします。<a name="more"></a>

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<title>「メインテーマは殺人」</title>
<description>アンソニー・ホロヴィッツ (Anthony Horowitz) 著山田　蘭 訳東京創元社 出版　メタフィクションに分類される作品だと思います。作中では、アンソニー・ホロヴィッツがロンドン警視庁の顧問ダニエル・ホーソーンの捜査に同行し、その体験をもとに本作を執筆するという設定になっています。その際、『犯行現場や尋問、事情聴取については、事実だけをきっちり書きしるす。読者を惑わしかねない想像や推定、脚色などは一切加えない』とまで書かれています。　この作品では、ホーソーンが解決する..</description>
<dc:subject>和書(海外の小説)</dc:subject>
<dc:creator>作楽</dc:creator>
<dc:date>2026-05-15T20:00:00+09:00</dc:date>
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<a href="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260515E3808CE383A1E382A4E383B3E38386E383BCE3839EE381AFE6AEBAE4BABAE3808D.png" target="_blank"><img border="0" alt="20260515「メインテーマは殺人」.png" src="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260515E3808CE383A1E382A4E383B3E38386E383BCE3839EE381AFE6AEBAE4BABAE3808D-thumbnail2.png" width="142" height="200"></a><br /><br />アンソニー・ホロヴィッツ (Anthony Horowitz) 著<br />山田　蘭 訳<br />東京創元社 出版<br /><br />　メタフィクションに分類される作品だと思います。作中では、アンソニー・ホロヴィッツがロンドン警視庁の顧問ダニエル・ホーソーンの捜査に同行し、その体験をもとに本作を執筆するという設定になっています。その際、『犯行現場や尋問、事情聴取については、事実だけをきっちり書きしるす。読者を惑わしかねない想像や推定、脚色などは一切加えない』とまで書かれています。<br /><br />　この作品では、ホーソーンが解決する殺人事件の謎と、登場人物であるホロヴィッツが作家として語る内容が主要な軸になっています。前者は、種明かしのあと、思わず「そりゃ、そうだ」と言ってしまう内容で、ミスリードに乗ってしまった自分が恥ずかしくなりました。後者は、小説を書く難しさや小説家の本音を垣間見た気がしました。もちろん、本音を吐露したように見せかけているだけかもしれませんが、妙に説得力がありました。<br /><br />　たとえば、犯人が登場するタイミングです。作品が全体の 3 分の 1 程度進んだところで、『この事件をわたしが好きに創作できるものなら、すでにこの時点で犯人を登場させているだろうが、』と書いています。ミステリ作家の著者にとって、それくらいが目安なのだと思うと同時に、それまでに登場した人物に犯人がいるのだとわかります。<br /><br />　興味深い描写は、まだまだあります。作家も、いまの風潮を少し窮屈に感じているのだと思う記述がありました。『今日 (こんにち) では、誰もがものごとにきっちりと白黒をつけたがる。二十一世紀を生きる作家としては、ゲイを嫌悪する主人公を書いてはいけないということはないにしても、もっとわかりやすい形で堕落した悪漢を描くほうが、はるかに賢明な選択というものだろう』。さらには、『1940 年代のことを書いていたほうが、はるかに安全なのだから』とも書いています。<br /><br />　ダイバーシティやインクルージョンを掲げる現代において、古臭さを感じる登場人物ホーソーンに対して著者がどう思っているかは、『わたしがホーソーンをあまり好きになれず、そのせいで、この本を書き上げることがどうにも難しく思えることだった』と書かれてあります。自身の作品『女王陛下の少年スパイ！』 シリーズのアレックス・ライダーを引き合いにだして、ホーソーンを批判しています。アレックス・ライダーは、ヤングアダルト作品の主人公なので、絵に描いたような好青年なのでしょう。わたしは、癖の強い主人公は歓迎するほうです。もちろん、実生活では灰汁の強いひとと極力関わらないように努めていますが、読むぶんには大いに楽しめます。著者とホーソーンの関係は、実生活に近い感覚かもしれないと思うと、おかしく感じました。<br /><br />　主人公の設定については、終盤にこう書いています。『いま思えば、この物語を一人称で書くことにしたのは失敗だった。わたしはけっして死なないと、読者にはずっとわかっているわけだから』。もちろん例外はあるのでしょうが、一種の創作上のお約束を知ることができました。<br /><br />　こうした断片から、本作のプロットや探偵役のプロフィールが緻密に練りあげられる過程を覗き見ることができたがして、殺人事件の謎よりもずっと楽しめました。作家を主人公にした「<a href="https://witch-sara.seesaa.net/article/485161327.html" target="_blank">Bag of Bones</a>」よりもさらに、作家の考え方を知った気分になれました。<a name="more"></a>

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<title>「赤と青のガウン オックスフォード留学記」</title>
<description>彬子女王 著PHP 研究所 出版　ひとは、つくづく評判というものに踊らされてしまう生き物なんだと痛感しました。この本が最初に出版されたのは、2014 年のことです。それが、2023 年 5 月の連休明けにネットでバズったらしく、それを機に文庫化されてベストセラーになり、つい最近コミック化もされました。文庫化のあとがきによれば、『どこのどなたか存じ上げぬ方のその投稿には 3 万以上の「いいね」がついた』そうです。わたしもその評判に踊らされて読んだひとりです。　タイトルの赤と青の..</description>
<dc:subject>和書(エッセイ)</dc:subject>
<dc:creator>作楽</dc:creator>
<dc:date>2026-04-27T20:00:00+09:00</dc:date>
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<a href="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260427E3808CE8B5A4E381A8E99D92E381AEE382ACE382A6E383B3E3808D.png" target="_blank"><img border="0" alt="20260427「赤と青のガウン」.png" src="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260427E3808CE8B5A4E381A8E99D92E381AEE382ACE382A6E383B3E3808D-thumbnail2.png" width="143" height="200"></a><br /><br />彬子女王 著<br />PHP 研究所 出版<br /><br />　ひとは、つくづく評判というものに踊らされてしまう生き物なんだと痛感しました。この本が最初に出版されたのは、2014 年のことです。それが、2023 年 5 月の連休明けにネットでバズったらしく、それを機に文庫化されてベストセラーになり、つい最近コミック化もされました。文庫化のあとがきによれば、『どこのどなたか存じ上げぬ方のその投稿には 3 万以上の「いいね」がついた』そうです。わたしもその評判に踊らされて読んだひとりです。<br /><br />　タイトルの赤と青のガウンとは、オックスフォード大学の博士課程を授与された者が身につけるガウンのことです。ただ、著者のオックスフォード大学マートン・コレッジでの留学経験が描かれている本作の価値は、オックスフォード大学で得た博士号でも、それまでの紆余曲折でもなく、やはり皇族としてのお立場ならではの何かに思えました。<br /><br />　公務に縛られていても、ほかの若い方々同様、何より『気持ち』を大切にされるのだと思うエピソードがありました。たとえば、いつの時点をもって『留学終了』と発表するかという問題に対し宮内庁は、渡英する必要があるあいだは、留学期間中としておいたほうが円滑に手続きを進められると判断しました。それを、気持ちの区切りを優先したいという思いが強く、猛抗議されたそうです。<br /><br />　また、簡単には想像できない状況も多いのだと思うエピソードもありました。たとえば、異国の地で暮らす著者に日本のものを送ってくれるのが侍女さんとか、普段は側衛官 (そくえいかん) と呼ばれるひとたちに守られながら行動していても、EU 圏内における 2 週間以上の滞在の場合は、単独の行動になるとか、そういった想像すらしない世界をこの本を通して知ることができました。<br /><br />　わたしにとって、とても刺激的だったエピソードは、2 つあります。ひとつは、伊藤若冲ブームをひき起こしたジョー・プライス氏と著者の交流です。プライス邸で氏のコレクションを研究する機会に恵まれた著者の経験は、特別です。太陽が出ているあいだだけ鑑賞が許される部屋で作品をみたときの感動を語ると同時に、『画師が想定した環境下で作品をみなければ、作品の実力や、当時それを鑑賞した人びとの感動を味わうことができない』という氏の持論も紹介しています。<br /><br />　もうひとつは、大英博物館の凄さを思い知らされるエピソードです。『展示されたことのある作品は全収蔵品のおよそ 10% で、残りの 90% は一度も展示されずに収蔵庫に眠ったまま』だそうです。実際、著者がボランティアスタッフとして大英博物館の収蔵庫に出入りしていたおり、法隆寺の金堂壁画 (1949 年の火災で焼損してしまい、もうみることはかないません) の一面 《弥勒浄土図 (みろくじょうどず)》 の写しや金堂壁画十二面を掛け軸に仕立てた、便利堂が制作した複製のセットを発見したそうです。このエピソードは、研究の素晴らしさを痛感させてくれます。<br /><br />　この本を読んで、研究の奥深さを知ることができたいっぽう、著者のように何年にもわたって研究に没頭できるだけの余裕のあるひとが日本ではどんどん少なくなっていることを知っているだけに、しんみりとしてしまいました。<a name="more"></a>

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<title>「スパイたちの遺灰」</title>
<description>マシュー・リチャードソン (Matthew Richardson) 著能田　優 訳ハーパーコリンズ・ジャパン 出版　訳者あとがきによると、『実在の人物や実際に起きた事件がふんだんに盛りこまれ』ているそうです。スパイ絡みの事件に興味のないわたしは、どこまでが史実で、どこからがフィクションか、調べもせず読み進めました。実際の事件を知っているほうが楽しめるかもしれませんが、知らずとも、それなりに楽しめました。　スパイ小説を読み慣れていないため、誰が味方で誰が敵かわからない展開やお互..</description>
<dc:subject>和書(その他)</dc:subject>
<dc:creator>作楽</dc:creator>
<dc:date>2026-03-30T19:00:00+09:00</dc:date>
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<a href="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260330E3808CE382B9E38391E382A4E3819FE381A1E381AEE981BAE781B0E3808D.png" target="_blank"><img border="0" alt="20260330「スパイたちの遺灰」.png" src="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260330E3808CE382B9E38391E382A4E3819FE381A1E381AEE981BAE781B0E3808D-thumbnail2.png" width="144" height="200"></a><br /><br />マシュー・リチャードソン (Matthew Richardson) 著<br />能田　優 訳<br />ハーパーコリンズ・ジャパン 出版<br /><br />　訳者あとがきによると、『実在の人物や実際に起きた事件がふんだんに盛りこまれ』ているそうです。スパイ絡みの事件に興味のないわたしは、どこまでが史実で、どこからがフィクションか、調べもせず読み進めました。実際の事件を知っているほうが楽しめるかもしれませんが、知らずとも、それなりに楽しめました。<br /><br />　スパイ小説を読み慣れていないため、誰が味方で誰が敵かわからない展開やお互いの腹の探り合いに終始する会話などに倦み、600 ページを超える長丁場に耐えられないかもしれないと思いましたが、中盤以降は一気に読み進められました。それは、どうしても確かめたいことが 2 点あったからです。<br /><br />　諜報史学を専門とするマックス・アーチャー准教授がある日、引退したスパイからメッセージを受け取るところから物語は始まります。スパイの世界では、神話の登場人物級に広く知られる存在からのメッセージに抗えず、会いに出かけたものの、マックスには相手が本物なのか、妄想に憑りつかれた老婦人なのか、判断がつきません。もし本物なら、千載一遇のチャンスです。もし偽物なら、失うものは時間や労力などに限られません。そして、決断を先延ばしにしているあいだに窮地に陥ります。<br /><br />　わたしが知りたかったのは、それほどの元スパイがなぜ冴えないマックスを選んだのか、手練れのスパイたちを相手にマックスがどこまで奮闘できるのか、その 2 点です。前者は、ヒントがわかりやすく中盤で明かされるため、それを確かめて細部に納得するだけなのですが、後者は、最後の最後まで本当にわかりませんでした。結末をぎりぎりまで明かさずに読者を惹きつける手腕から、この作家がストーリーテラーとして、極めて優れているように見えました。また、マックスの成長ぶりを目の当たりにし、爽快な読後感を味わうこともできました。<br /><br />　そして、マックスの描写で語られる真実には頷いてしまいました。一番好きなのは、マックスの失敗を振り返るくだりです。『結局、すべての元凶は承認欲求なのだ。人が政治の世界に入り、舞台にあがり、テレビ司会者になり、新聞にコラムを書き、中身が空っぽの小説を出版するのは世間に認められたいからなのだ』。作家が書いているだけに、切ないような可笑しいよう気分になりながらも、納得してしまいました。<a name="more"></a>

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<title>「地雷グリコ」</title>
<description>青崎　有吾 著KADOKAWA 出版　強引に短くまとめてしまうと、高校生たちがゲームをする連作短編なのですが、さまざまな要素が絡み合って、読み応えがあり、ミステリーを読むときのように、登場人物のゲーム戦略を読み解きたくなってしまう作品です。ゲームといっても、ソフトウェアのほうではなく、グリコ、神経衰弱、じゃんけん、だるまさんがころんだ、ポーカーなど、昔ながらのフィジカルな戦いで、それぞれ、「地雷グリコ」「坊主衰弱」「自由律ジャンケン」「だるまさんがかぞえた」「フォールーム・ポ..</description>
<dc:subject>和書(日本の小説)</dc:subject>
<dc:creator>作楽</dc:creator>
<dc:date>2026-03-13T20:00:00+09:00</dc:date>
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<a href="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260313E3808CE59CB0E99BB7E382B0E383AAE382B3E3808D.png" target="_blank"><img border="0" alt="20260313「地雷グリコ」.png" src="https://witch-sara.up.seesaa.net/image/20260313E3808CE59CB0E99BB7E382B0E383AAE382B3E3808D-thumbnail2.png" width="143" height="200"></a><br /><br />青崎　有吾 著<br />KADOKAWA 出版<br /><br />　強引に短くまとめてしまうと、高校生たちがゲームをする連作短編なのですが、さまざまな要素が絡み合って、読み応えがあり、ミステリーを読むときのように、登場人物のゲーム戦略を読み解きたくなってしまう作品です。ゲームといっても、ソフトウェアのほうではなく、グリコ、神経衰弱、じゃんけん、だるまさんがころんだ、ポーカーなど、昔ながらのフィジカルな戦いで、それぞれ、「地雷グリコ」「坊主衰弱」「自由律ジャンケン」「だるまさんがかぞえた」「フォールーム・ポーカー」という短編になっています。<br /><br />　作品のタイトルが、もとのゲームの名前と少し異なるのは、独自のルールが付加されているためです。たとえば地雷グリコは、じゃんけんをしてグーで勝てば、『グリコ』で階段を 3 段あがる点は原型と同じなのですが、各プレイヤーが階段に 3 つずつ地雷を設定することができます。地雷を踏むとペナルティが課せられるため、ゲームが複雑化します。相手プレイヤーがどこに地雷を設定したのか想像しながら、自らが設定した地雷を避け、3 段進むべきか、6 段進むべきか、展開を読む必要があります。<br /><br />　しかも、原型のゲームを知っているだけに、そのゲームのイメージに縛られながら読んでしまうのですが、高い知能をもつ高校 1 年生の射守矢真兎 (いもりや・まと) は、奇想天外な手を次から次へと繰りだし、対戦相手の予想も読者側の予想も、ことごとく裏切ります。わたしも登場人物と同じルールを知っているはずなのに、考えもしなかったことが次々と起こり、先が気になってしまいました。<br /><br />　それぞれのゲーム展開を考えた作家は、どういうふうにルールを思いつき、プレイヤーの戦略をどう組み立て、物語として具体化しているのか不思議でなりませんでした。現実離れしているものの、登場する高校生たちの個性もきちんと描き分けられています。特に、主人公真兎がこだわる点、こだわらない点が魅力的に見えました。ただ、視点が頻繁に入れ替わるので、わたしは最初戸惑いました。<br /><br />　第 24 回本格ミステリ大賞 (小説部門)、第 77 回日本推理作家協会賞 (長編および連作短編部門)、第 37 回山本周五郎賞とトリプル受賞したことに納得できる内容でした。<a name="more"></a>

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